iPhone 14ベースで2025年発売か

「iPhone SE 4」いつ発売? どんな仕様に? これまでの噂をまとめてみる

Image:AppleTracks/YouTube

アップルの廉価版スマートフォン「iPhone SE」シリーズは、しばらく世代交代が止まっている。最新の第3世代が発売された2022年3月から2年以上が経過したものの、いまだに公式の動きはないままだ。

iPhone 15シリーズなどのフラグシップ機は、高い利益率をもたらしている。その一方で、iPhone SEシリーズも「アップルのエコシステムの入り口」として重要な位置を占めている。

現在、同社の収益の少なくない部分をサービス事業が占めており、着実に成長を続けている。買い求めやすいiPhone SEはユーザーのすそ野を広げ、1人当たり月々数ドルとはいえ、手堅い利益をもたらす。特に新興国の市場においては、「安いiPhone」の存在は欠かせないだろう。

その役割を担う次期「iPhone SE 4」(仮)は、アップルの中でどのような位置づけで、どんなハードウェアとなるのか。これまでの噂話をざっと振り返っておこう。

アップル独自開発5Gモデムと「セット」だった?

iPhone SE 4の噂話は、第3世代が発売された2022年までに遡る。もっとも、当時はiPhone人気が高価かつ多機能なProモデルに偏り、それ以外の需要が低いため、計画はキャンセルまたは延期される可能性が高いとのアナリスト予想もあった

その後まもなく、アップル独自設計の5Gモデムを搭載して発売との説が急浮上。要は開発経験がない独自モデムを、いきなりフラッグシップ機に載せるのはリスクが高すぎるため、廉価モデルをテストベッドにするアプローチだ。

しかし、2023年末には5Gモデムの開発は非常に難航しており、実用化は早くとも2~3年後との報道があった。それを裏付けるように、アップルはクアルコムとの5Gモデム供給契約を3年延長。さらに翌年には2027年まで延長したと明らかになった

その真逆を行くように、iPhone SE 4の噂話は活発化していった。アップルの内情は不明ではあるが、独自モデム開発の先が長いと判断して、廉価版iPhoneとの切り離しが進んだのかもしれない。

iPhone 14ベース、48MPカメラやアクションボタン搭載か

iPhone SEシリーズは「数年前のフラグシップ機がベース」が恒例となっている。初代モデルはiPhone 5s(同じケースが使える)、第2世代と第3世代はiPhone 8という具合だ。

その延長上から、iPhone SE 4は「Face IDを採用したiPhone」がベースになることが定説となっていた。早い時期にはiPhone XR説もあったが、今ではiPhone 14の標準モデル説が主流だ。さすがに2018年発売のXRではデザインも古すぎる上に、流用できるパーツや生産を担当するサプライヤーがないのかもしれない。

さて、記事執筆時点で有力となったiPhone SE 4の製品像は、ざっと次の通りだ。

  • Lightning端子からUSB-Cポートに移行
  • ほぼiPhone 14標準モデル
  • 48MPカメラ搭載、ただしシングルカメラ
  • Touch ID(指紋認証)に代えてFace ID(顔認証)
  • 6.1インチ有機ELディスプレイ搭載
  • iPhone 15 Proモデルのようなアクションボタン追加の可能性
  • 2025年発売

まずUSB-Cポートの搭載は、EUが法律で義務づけているために避けようがない。今後のiPhoneは、フラッグシップと廉価モデルを問わず、有線充電端子がある限り(完全ワイヤレス化・ポートレス化した場合は別)USB-Cが付いてくるだろう。

次に「iPhone 14標準モデルがベース」と6.1インチ有機ELディスプレイ搭載は、ワンセットだ。なぜなら、iPhone 14用有機ELディスプレイ(少なくとも製造技術)の流用は、コストダウンのため不可欠だからである。

韓国サプライチェーン情報筋からは、アップルが提示した有機ELパネルの価格が安すぎたためにサムスンが辞退。中国の大手ディスプレイメーカーBOEが、その価格でも単独で引き受けたとの噂話もあった。廉価モデルとしては、十分にあり得る話だろう。

また、iPhone 15シリーズのようなダイナミックアイランド(画面上部の楕円状スペース)を採用するとの噂もあった。しかし、それではiPhone 14のディスプレイを流用できないので、ノッチ(画面上部の切り欠き)デザインの可能性が高い。

その文脈でいえば、コストを押し上げるアクションボタンが搭載されるかどうかは判断が難しい。これは、より信ぴょう性の高い情報を待つべきだろう。

ただカメラに関しては、iPhone 15シリーズ以降はすべてメインカメラが48MPになっている。そしてフラグシップの標準モデルとはデュアルカメラとシングルカメラで差別化できるはず。この点は、複数の識者や情報源が一致していることだ。

そうしたスペック情報に関しては、4月下旬時点ではリークアカウント@negativeoneheroがもたらしたものが最新である

おおむね今までの噂話と符合しつつも、搭載チップはiPhone 15標準モデルと同じA16 Bionic、搭載RAMは6GBとのこと。次期「iPhone」シリーズでは、標準モデルも「A18」チップ、RAMも8GB搭載と噂されており、差別化する上で矛盾しないが、こちらも続報を待ちたいところだ。

アップルにはもっと安いiPhoneが必要?

以上をまとめると「見た目はiPhone 14標準モデル、一部にiPhone 15の仕様を取り入れたもの」という製品像が浮かび上がってくる。つまり高速なチップ、有機ELディスプレイ、シングルとはいえ高性能カメラ、高級なボディ素材を使うため、競合他社製品と比べて「安価」にはし難いだろう。

実際、アップル内部情報に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、新興市場に本腰を入れたければ「250ドル台のiPhoneを目指すべき」と主張している

今後、全画面デザインながら液晶ディスプレイ、さらに旧式だが今でも通用するチップ、プラスチック製のボディを採用した「iPhone SEの廉価モデル」が登場するのかもしれない。

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