著名ジャーナリストは噂はデマだと完全否定

アップル、独自5Gモデム開発は継続中か。次世代「6G」も視野の可能性

Image:CNBC

米CNBCは、アップルの独自開発チップ「Appleシリコン」に関する詳細なレポート動画を公開した。その中では、米カリフォルニアにあるチップ研究所の内部を歩く貴重な映像も含まれているが、もちろん未知の情報が明かされてはいない。

それよりも、同社の幹部ジョニー・スロウジ氏が独自開発モデムに関する質問に対して、詳細な回答は避けながらも、開発を続けていると示唆したことが注目を集めている。

今回の質問は、アップルがクアルコムとの5Gモデム供給契約を3年延長したことを受けてのものだ。また先日、韓国の情報筋から「アップルが5Gモデム開発を断念した」との噂話も届けられていた

さらにCNBCは、アップルがWi-Fi/Bluetooth統合チップも開発中との噂に言及。その上で、同社がすべてのチップ製造を制御下に置きたいのかと踏み込んだ厳しい質問をぶつけている。

これに対してスロウジ氏は、地球上で最高の製品を作りたいと考えており、もしサードパーティ企業がその基準を満たすのであれば、そちらから調達するとの趣旨を述べている。

その一方で、アップルの社内事情に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、5Gモデム開発が「非常に困難」だとしつつも、取り組みは続けていると主張している。

長年にわたりGurman氏はこの件を報じ続けており、先月も「あと2~3年かかる」と述べていた。また今回の記事では、上記の噂話がデマだと断じてさえいる。そこで挙げられている、独自5Gモデム開発にまつわる諸事情は次の通りだ。

  • クアルコムからモデム購入する契約を再更新したくない。iPhoneの中核ともいえる部品をクアルコムに依存したくないし、両社には(裁判などの)確執がある
  • もしも独自モデムを投入した上で上手く機能しなければ、ティム・クックCEOにとって最大の黒星となる
  • もしモデムを独自開発とすれば、アップルは技術をより制御できるようになり、財務的なメリットも得られる可能性もある。だが、iPhoneやMac向けチップと異なり、モデムが性能の大きな向上をもたらすとは思えない。そのため、マーケティング上の課題をもたらしている

その一方でアップルは、次世代「6G」関連エンジニアの採用を増やしているとのこと。実際アップルは「6Gリファレンス・アーキテクチャの設計とモデリングを推進・調整」という、非常に具体的な求人広告を自社サイトに掲載している

アップルが6Gまでも視野に入れているなら、5Gモデム開発も粘り強く続けられそうだ。とはいえ、その場合は事実上のセットとみなされている次世代iPhone SE 4の発売時期がどうなるのかも気になるところだ。

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