iPhone SE 4+独自5Gモデム投入は2025年?

アップル、クアルコムとの5Gモデム供給契約を3年延長。独自モデム開発に苦戦か

Image:nikkimeel/Shutterstock.com

米クアルコムは11日(米現地時間)、iPhone向け5Gモデムチップを2026年まで供給し続けることを発表した。これはアップルが独自設計の5Gモデム開発に、予想以上に時間がかかっていることの表れのようだ。

クアルコムの公式リリースによれば、アップルと「2024年、2025年、2026年に発売されるスマートフォン向けにSnapdragon 5G Modem-RFシステムを供給する契約」を締結したとのこと。

両社はライセンス料をめぐる法廷闘争を繰り広げた後に2017年に和解し、6年間のモデムチップ供給契約を締結していた。つまり、当初の契約から3年分を延長したことになる。

アップルは数年前から独自モデム開発に取り組んでいるとみられており、2019年にはインテルのスマートフォンモデム事業の大半を買収している。一時はクアルコムとの契約の期限である2023年、すなわちiPhone 15が同社のモデムを搭載する最後になると噂されたこともあった。

そしてBloombergは、アップルが独自モデム投入の準備を整えるまでには、さらに「長い助走」があると予想している。

クアルコムとの契約が2026年まで続いても、アップルがそれ以前に独自モデムを新製品に搭載することはあり得る。先週、アップルのサプライチェーン情報に精通するMing-Chi Kuo氏は、同社が2025年から自社設計モデムを採用すると述べていた

その一方で、クアルコムは「アップルが2026年に発売するスマートフォンに必要なモデムの20%しか供給できない」と予想している。つまりアップルがそれ以前に自社モデムチップを限定的に投入し、2026年には一部モデルのみにクアルコム製チップを搭載し続けるシナリオが考えられる。

これらの観測は、廉価モデル「iPhone SE 4」が独自5Gモデム搭載で2025年発売とのアナリスト予想とも符合する。辻褄を合わせるなら、まずiPhone SE 4に採用して運用データを集め、翌年にフラグシップ機「iPhone 17」シリーズに投入する、といったところだ。もしかすると、iPadなど非主流製品にも先行して搭載するのかもしれない。

アップル独自設計の5Gチップは、モデムをSoCに統合できるため、より性能や電力効率を改善できる可能性がある。またiPhoneの販売台数ごとにクアルコムに支払うライセンス料も減らせるため、アップルの利益率も長期的に改善できるだろう。

一般ユーザーにとって5Gモデムチップは縁遠い話にも思えるが、その行方はiPhone SE 4の発売時期とも密接に結びついている。今後も、続報を待ちたいところだ。

関連キーワード: