ただし情報錯綜中

次期「iPhone 16」シリーズ、15 Proで実現しなかった感圧式ボタンが“復活”か

Image:Hadrian/Shutterstock.com

かつてiPhone 15 Proモデルでは、物理ボタンが静電容量式(感圧式)に変更されるとの噂があったが、結局は実現しなかった。しかし、アップルが次期「iPhone 16」シリーズ向け静電容量式ボタンの部品を大量に発注したとのサプライチェーン情報が伝えられている。

台湾メディアの経済日報によると、ASE(Advanced Semiconductor Engineering)が受注したという。この注文にはSIP( system-in-a-package)モジュールが含まれ、iPhoneの両側にある物理的な音量ボタンと電源ボタンを静電容量式タッチボタンに置き換えるために使われるとのことだ。

静電容量式ボタンは、手指が近づくと容量結合値が変化することを利用し、タッチした座標を特定する。これと振動を発生させるハプティック(アップル的にはTaptic)エンジンを組み合わせることで、物理的なボタンの感覚を擬似的に再現するしくみだ。

もっともアップルとしては、将来モデルの生産に備えて部品を発注した可能性もある。必ずしも、今年のiPhone 16モデルに静電容量式ボタンが採用されることを意味するものではないだろう。

もともとiPhone 15 Proモデルでは電源ボタンや音量ボタンが感圧式に置き換えられる予定だったが、技術的トラブルのため急きょキャンセルされ、物理ボタンに戻したと複数の情報筋が報じていた

その後、iPhone 16の初期プロトタイプでは全てのボタンを物理式に戻されたものの、アクションボタンと新規追加される「キャプチャーボタン」は感圧式も検討されているとMacRumorsの情報筋は伝えていた

が、有料ニュースメディアThe Informationはキャプチャーボタンが機械式(物理ボタン)でありつつ、圧力やタッチにも反応すると主張していた

かなり情報が錯綜しているが、これは昨年の繰り返しでもある。当時も5月に入ってから、感圧式ボタン用のTapticエンジン大量受注を見込んでいたCirrus Logic社が「この部品に関する収益を計画から削除した」と急きょ発表しており、この時期のちゃぶ台返しはあり得なくはない話だ。

今回の報道では、この静電容量式パーツは今年の第3四半期に量産を開始するとのことで、一般的なiPhoneの初期生産パターンからすれば異例の遅さではある。そのため次期モデルではなく、来年の「iPhone 17」シリーズ用である可能性もある。

とはいえ、上記のように、発売の数ヶ月前にボタンの仕様が変更される前例があったばかりだ。全ボタンが感圧式となれば物理ボタンのような開口部もなくなり、防水性も高まる一方で、未知のトラブルが発生する恐れもある。アップルがどう判断するか、今後の推移を見守りたいところだ。

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