サードパーティのアクセサリー企業は大パニック?

iPhone 15 Pro、感圧式ボタン採用を中止する可能性が浮上

Image:IIIARK/Shutterstock.com

今年秋に発売とみられる「iPhone 15」シリーズのうちProモデルには、ボリュームボタンが感圧式ソリッドステートボタンに変更されるとの予想が相次ぎ、それを裏付けるダミーモデルまでも出現していた。しかし、ここに来て製造上の問題から、従来の物理ボタンに巻き戻される可能性が浮上している。

まず香港の投資会社Haitong International SecuritiesのアナリストJeff Pu氏は、アップルのサプライチェーンに詳しい情報筋から、新方式のボリュームボタンは複雑な設計となるため、iPhone 15 Proでは従来型に戻すかもしれないと聞いたという。

新型ボタンにはiPhone内部に3つのハプティック・エンジン(振動などの触覚を返す仕組み。アップル製品では「Taptic Engine」と呼ばれる)が必要になると述べられ、部品不足が示唆されているようだ。

そうした必要なパーツを作る時間を確保するため、感圧式ボタンは2024年モデルに先送りされる可能性があるとのこと。これは「市場のコンセンサスに反すること」とされ、感圧式ボタンの採用にかけられていた期待の大きさが物語られている。

これはあくまでボリュームボタンに関することで、同じく感圧式への変更が噂されるサイレントスイッチ(ないし「アクションボタン」)がどうなるのかに言及はない。なお、さらに信頼性の高いアナリストMing-Chi Kuo氏も、Pu氏と同様の見解を示している。

iPhone 15 ProはまだEVT(エンジニアリング検証テスト)の段階であり、設計を変更する時間はまだあるとともに、物理ボタンを復活させることで開発・テストプロセスを簡略化できるという。現時点で感圧式ボタンをやめても、Proモデルの量産スケジュールや出荷に与える影響は限定的だと見られている。

ここでいうEVTとは、工業製品が量産に入るまでに検証する過程の一部であり、通常はEVT→DVT(設計検証テスト)→PVT(生産検証テスト)の順に進められる。つまり、まだ引き返せる段階にあり、そこで生じたタイムロスも設計の簡略化ですぐに取り戻せる、ということだろう。

これまで流出した予想CGやダミーモデルは、時期的に考えて、EVTでの試作機を元にしていた可能性が高い。Kuo氏はTaptic Engine関連の受注をシーラス・ロジックやAACテクノロジーズが逃す痛手を指摘しているが、この噂が本当だとすれば、アクセサリー製造企業もパニックになっているかもしれない。

iPhone 15 Proモデルにおける最大の変更点は、10年以上も続いたLightningポートからUSB-C端子への切り替えだと予想されている。こちらはEUの規制に対応する必要に迫られてのことであり、方針変更は考えにくいだろう。

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