App Storeは「EUと米国やそれ以外」の2つに分割?

アップル、EUで「App Store以外からiOSアプリをインストール可能」準備完了か

Image:BigTunaOnline/Shutterstock.com

欧州連合(EU)が「デジタル市場法(DMA)」が発効したことで、アップルはiPhone上でApp Store以外のサードパーティ製アプリストアや、サイドロード(正規ストア以外からのアプリのインストール)を認める必要に迫られている。

そんななか、アップルがまもなくApp Storeを「EU向け」と「米国およびその他の地域向け」の2つに分割するため調整を始めると、著名ジャーナリストが主張している。

アップルの内部情報に精通するBloombergのMark Gurman記者は、同社がDMAに準拠するため、iOSに変更を加える期限が3月7日だと確認。その上で「今後、数週間のうちに調整を開始する」予定だと述べている。

App Storeを2つに分ける計画は、EUからの巨額の制裁金を避けるため、1年以上前から取り組んできたとのこと。実際、2022年末には「アップルのプラットフォームの重要な要素を開放するための大規模な取り組み」を始めており、早ければ「iOS 17」に実装される可能性があると報じていたことがある。

先週、欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員長は、アップルのティム・クックCEOと会談し、DMAのもとでユーザーに他社製アプリストアやサイドロードアプリを開放する期限が差し迫っていると念を押していた。ほかアップルは、アプリ開発者にApp Store以外での宣伝やサードパーティ決済システムの利用を認める義務を負うことになる。

アップルが地域によりApp Store関連のシステムを調整することは、以前もオランダに限ってアプリ外決済を許可するなどの前例があった。またEUで他社製アプリストアを認めても収益への影響は軽微であり、現地で収益を全て失っても総収益で1%の打撃に留まるとの試算もある

だが、日本でもアップルやGoogleにサイドロードやアプリ外決済の許可を強制する独禁法案が準備中であり、米司法省もApp Storeをサイドロードに開放させる準備を進めているとの報道もあった。これらが実現した場合、アップルといえども軽いダメージでは済まなさそうだ。

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