安いバージョンはワイヤレス機能も一部削除?
クアルコムのAppleシリコン対抗「Snapdragon 8cx Gen 4」、CPUコア数違いの3種類か
米クアルコムの「Snapdragon 8cx Gen 4」は、新たなCPUコアOryonを搭載した初のチップセットになる見通しだ。Oryonは、かつてiPhoneのAシリーズプロセッサを手がけたNuviaチームが開発を主導したとみられている。
このOryonの位置づけを、クアルコムは「モバイルとPCの融合を推進し、スマートフォンの良さをノートPCにもたらすこと」と表現。これまでのSnapdragon 8cx Gen 1~Gen 3はWindowsノートPCに搭載されながらも性能が高いとは言えなかったが、Gen 4は電力効率も改善することでタブレットやミニノートPCも視野に入るとの噂もある。
そんなSnapdragon 8cx Gen 4につき、CPUコア数が違う3つのバージョンがあり、最も高性能なものは12コアCPUを搭載するとドイツメディアWinfutureが主張している。
最上位バージョン(型番はSC8380またはSC8380XP)は、8つの高性能コアと4つの省電力コアを備えているとのこと。ほか2つは10コアと8コアで、それぞれ高性能コア×6+省電力コア×4/高性能コア×4+省電力コア×4の構成になるという。
1つのチップセットに複数のバリエーションを提供することは、インテルとAMDが長年続けてきたアプローチを採用するものだと説明されている。両社とも基本的には同じチップを、コア数を変えて異なるモデル名や型番で送り出している。
また高性能コア+高効率(省電力)コアという構成で、前者の数を増減することで価格帯の異なるチップを提供する戦略はアップルとも共通している。実際、クアルコムもアップルのMシリーズチップ対抗を強烈に意識していることを隠していない。
ただし、Snapdragon 8cx Gen 4の3バージョンは、かなりの性能差が付けられる可能性もある。数か月前にも遅いバージョンは高性能コアが3.00GHzで動作し、速いものは3.4GHzで動いていたとの噂もあった。安価なバージョンの性能は制限し、そのぶん最速版を魅力的に見せて高価格にすることもあり得るだろう。
またSnapdragon 8cx Gen 4はWi-Fi 7、5G、Thunderbolt経由での外部GPU接続をサポートするとのリーカー情報もある。たとえば安価なタブレット向けには、このうち一部のワイヤレス仕様が省かれる可能性も考えられる。
Winfutureによれば、Snapdragon 8cx Gen 4を搭載した最初の製品は、2024年初頭に発売される予定だという。アップルは次期「M3」Macを今年10月頃に投入するとみられているが、来年はAppleシリコンとクアルコムの新型チップが激突することになりそうだ。