2年後に「M2チップを超え」ても遅い?

クアルコムのAppleシリコン対抗チップ、12コアで「非常に有望」との情報

Image:Sundry Photography/Shutterstock.com

もっか米クアルコムは新たなWindows PC向けArmベースチップの開発を進めており、同社のクリスティアーノ・アモンCEOは「アップルのM2チップを上回る、最高のチップを開発できる」と豪語していた

その自信の根拠となるのが、クアルコムが2021年に買収したNuviaチームである。Nuvia社は、元アップルのAシリーズチップ(A7~A12X)開発を主導した人物を中心とするグループだ。ただし、Nuviaが取り組んでいる新型チップは2024年まで登場しないことが示唆されていた

まだ謎の多いNuviaチップだが、その初期バージョンには12コアのCPU構成があり、性能は「非常に有望」との噂話が伝えられている。

この情報の発信源は、有名リーカーで開発者のKuba Wojciechowski氏である。最近Wojciechowski氏は「Pixel 7a」など、未発表Google端末の情報を発信していることが注目を集めている。

それによれば、12コアのCPU構成は高性能コアが8つ、高効率コアが4つとのこと。少なくとも数の上では、M2チップ(高性能4つ+高効率4つ)を超えているようだ。

このチップはNuvia Phoenix設計に基づいており、「Hamoa」というコードネームで呼ばれているという。ただし「デスクトップ」と但し書きを付けられているのが、気になるところだ。アップルがM1チップをMacBook AirやMac mini、iMacに搭載したように、クアルコムもノートPCとデスクトップ両方に採用を考えているのかもしれない。

そして「Hamoa」はアップルのM1と同様のメモリやキャッシュ構成を備え、専用の外付けGPUにも対応するとのこと。アップルのMシリーズチップ搭載Macは、いまだに外付けGPUをサポートしていないが、こちらはThunderbolt経由でのeGPU接続を展開する可能性もあるようだ。

今回の情報源は「非常に有望」なパフォーマンスだと主張しているが、いまだに不足している情報が多すぎる。たとえば、どんな製造プロセスを使うつもりなのか。5nmか4nmか、プロセスルール(回路線幅)の違いによって処理速度や消費電力も変わってくるし、バッテリー持ちにも大きく影響する。

また「非常に有望」と主観的な言葉しか使われていないのも、判断しかねる理由の1つだ。それはアモンCEOの豪語したM2チップを凌駕することを指すのか、それとも同社のWindowsノート向け最新SoC「Snapdragon 8cx Gen 3」と比べてのことなのか? もし後者だとすれば、2年後の時点では、Appleシリコン対抗としては不十分と言えそうだ。

ともあれ、WindowsPC向けArmベースチップとしては、クアルコム(Nuviaチーム)に期待するほか選択肢はない。快適な処理スピードと破格のバッテリー持続時間を両立したチップが実現するよう祈りつつ、続報を待ちたいところだ。

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