iPhoneやMacのバッテリー持ちがさらに向上?
アップル、TSMCの3nm製造90%を年内独占か。「A17 Bionic」や「M3」向けの見通し
アップルが将来のiPhone、MacおよびiPhone向けに、半導体製造大手TSMCの第1世代3nm技術「N3B」による年内の製造能力のうち90%を独占したと電子業界情報誌DigiTimesが報じている。同社の3nmプロセス技術は世界最先端に位置しているだけに、アップル製品の競争力にも影響を与える見通しだ。
今後の主要なアップル製品には、TSMCによる3nmチップ搭載が予想されている。まず2023年秋に発売とみられる「iPhone 15 Pro」モデルには「A17 Bionic」、そして年末~2024年初頭の13インチMacBook Airや24インチiMac後継機、有機EL版iPad Proには「M3」チップが搭載されるとみられる。それに続き14インチ/16インチMacBook Proには「M3 Pro」や「M3 Max」といったところだ。
TSMCの第1世代3nmプロセス技術は、iPhone 14 Pro搭載のA16 Bionic製造に使われた4nm技術に比べて電力効率が35%改善し、性能は15%向上すると謳われている。
アップルはTSMCにとって最大の顧客だけに、3nm製造キャパシティの割り当ても優先されるとみられていた。今年2月にも受注可能量をすべて確保したと報じられていただけに、9割は予想の範ちゅうとは言えそうだ。もっとも、まだ3nmプロセスでの歩留まりが高くない様子でもあり、十分なチップ製造量を確保できるのは今年秋以降になるようだ。
この直前にも、今後のAppleシリコン(独自開発チップ)の1つ「M3 Pro」に関する噂が届けられたばかりだ。それは12個のCPUコア、18個のGPUコアおよび36GBのRAMを搭載しつつ、CPUは高効率コアを2個増やす可能性があるとのことで、処理速度は向上しながらもバッテリー持ちに重きが置かれそうだ。
またTSMCは、強化版の3nmプロセス「N3E」の開発にも取り組んでいるという。Appleシリコン(独自開発チップ)もゆくゆくはN3E世代に移行する予定だが、実際のチップ出荷が本格化するのは2024年になるとの見通しだ。
これまでのサプライチェーン情報等をまとめると、「2023年内にMacの性能やバッテリー持ちが劇的に向上するのは望み薄」となりそうだ。15インチMacBook Airも筐体は大きくなりながらもM2チップのまま、Appleシリコン版Mac Proも本来の最上位構成は開発中止されてMac Studioとの差別化も難しそうであり、しばらく大きな動きはないのかもしれない。