旧iPhone向けチップは減産、iPhone 15 Pro向けは増産?
iPhone 15 ProやM3 Mac採用が噂される「3nmチップ」製造をTSMCが拡大中
今年秋の「iPhone 15 Pro」モデルに搭載される「A17 Bionic」や、今後のMac/iPadに採用が見込まれる「M3」チップは、台湾TSMCの3nm技術により製造されることが有力視されている。それを裏付けるように、TSMCは3nmプロセスによるチップ量産能力の向上に邁進しているとのサプライチェーン情報が届けられている。
台湾の電子部品業界情報誌DigiTimesによると、TSMCの5nm製造ラインはアップルを初めとしたパートナー企業からの注文が減ったため、工場の稼働率が落ちているという。iPhone向けチップの注文だけで30%削減されたともあり、iPhone 14/14 Plusの売上げ不振が響いている可能性もあるだろう。
しかし、アップルが3nmチップを渇望しているため、全体の稼働率は70%以上に維持できているという。TSMCは3nm製造ラインの稼働率アップを続けており、3月末には50%に近づく見込みとのこと。今月内には(ダイの)月産量が5万~5万5000枚に拡大され、その主要な顧客はアップルになると報じられている。
TSMCの第1世代3nmプロセス「N3」は、iPhone 14 ProモデルのA16 Bionic製造に使われた4nmプロセスよりも電力効率が35%改善すると謳われている。またプロセスルール(回路線幅)の微小化に伴い、処理速度の向上も期待できる。
そして、iPhone 14 Proモデル用のA17 Bionic製造に使われると噂の「N3E」は、N3のコストを下げて生産性向上を図った派生プロセスである。N3からどれほど性能や省電力性が改善するかは不明だが、いずれにせよA16 Bionicからの飛躍は目覚ましく、旧iPhoneから乗り換えブームを起こすとの予想もあった。
またM3チップは、まず新型の13インチ/15インチMacBook Airや13インチMacBook Pro後継モデルに採用され、今年後半の次期24インチiMacにも搭載が噂されている。これら廉価モデルはMac市場の拡大にも直結しやすいため、アップルも注力しているのかもしれない。