マスク氏PayPalとも深い関係

Twitter、決済プラットフォーム化目指しライセンスを申請との報道

Image:mundissima/Shutterstock.com

イーロン・マスク氏はTwitterを買収して以来、収益を上げるために様々な方法を模索してきた。直接的には、本社備品をオークションに放出して鳥の巨大オブジェを売り払うことであり、先日サードパーティ製クライアントを禁止したのも、広告収益の一助とするため(サードパーティ製アプリは広告非表示だった)とみられている。

その新たな一手として、Twitterが米国で、決済プラットフォームとなるために必要なライセンスを申請していると報じられている。

マスク氏は昨年11月、Twitter SpacesでのTwitter広告クライアントとの会合で、すでに決済市場に参入する計画を詳しく説明していた。Twitterユーザー同士が送金し合ったり、その残高をアカウントとひも付けた銀行口座に移せるというものだ。

英Financial Timesの報道によると、Twitterは決済プラットフォームのライセンスを申請する一方で、同社の製品管理ディレクターであるエスター・クロフォード氏は、支払い機能のインフラ整備に取り組んでいるとのことだ。

また同誌は、マスク氏がTwitterを「何でもありのアプリ」にしたいとの構想を抱いているとも伝えている。すなわち「メッセージング、決済、コマース」機能を包括する計画の一環として、ピアツーピア取引、預金口座、デビットカードなどのFinTech(最新技術を活用した金融)サービスを提供したいと述べているという。

これは最近の思いつきではなく、マスク氏がTwitterを買収する以前から温めていた構想かもしれない。まだ買収に向けて続きを進めている最中にも、マスク氏はTwitterが目指す例として、支払いから配車まで何でも入りの中国アプリ「WeChat」を挙げていた

そもそもマスク氏の原点の1つは、最初期のオンライン金融サービスであるX.comを共同設立したことだ。同社は後に、決済大手PayPalの一部となっている。

Twitterの新たな決済プラットフォームは、まず通常の通貨と決済手段に対応しつつ、将来的には暗号通貨のサポートを追加する計画もあるという。また、個人から店舗での支払以外に、店舗間での送金も視野に入れているそうで、もし実現すればPayPalやApple Payとも競合することになる。

しかし、PayPalが全世界に浸透するまでには長い歳月がかかっており、Apple Payも数億台ものiPhoneのプリインストールアプリという優位性が前提にあるはずだ。マスク氏にとって決済プラットフォームは得意ジャンルとも思えるが、目論見通りに事態が運ぶかどうか見守りたいところだ。

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