イスラエル・ハマス紛争のデマ対策?

Xの収益分配、コミュニティノートで修正された投稿は対象外に

Image:JRdes/Shutterstock.com

旧TwitterことXのオーナーであるイーロン・マスク氏は、コミュニティノートにより修正された投稿は収益分配の対象外となると述べた。その狙いは「センセーショナリズムよりも正確性へのインセンティブを最大化すること」だと説明している。

また「コミュニティノートを武器にして人々を悪者にしようとする試みは、すぐに露見することになる」とも付け加えている。

コミュニティノートとは、誤解を招く可能性ある投稿に対して、一般ユーザーが背景情報を提供して評価する仕組みだ。米国では2021年にBirdwatchという名称で登場し、2022年末から全世界に提供されている

このコミュニティノートは、誰でも登録できる。重要な欠落を補ったり誤りを訂正したりしつつ、根拠となる情報ソースを示すというものだ。「多様な視点」を持つ他のユーザーが、そのノートや別のノートを評価でき、最も「役に立った」を集めたノートが上位に表示される。

今回のマスク氏の投稿は、ちょうどXがイスラエル・ハマス紛争にまつわる大量の誤報に対処しかねているなかで行われたものだ。軍事サンドボックスゲームを用いたフェイク動画がXで溢れかえり、いまだに削除もされず拡散され続けているものもある。

こうした事態に、EUは偽情報対策をXに要請。もしも従わなければ莫大な罰金が課される可能性があるなか、マスク氏は誤情報の取締りよりも、Xから欧州をブロックすることを検討しているとも報じられていた

しかし、マスク氏が買収して以降のXはアクティブユーザーが着実に減少しているとの調査結果もあった。もしも欧州をブロックすれば、ユーザー数の減少や広告主離れを加速するだろう。

その一方でモデレーション(投稿規制)スタッフを大幅に削減しており、単純に人手不足という事情もある。そうした苦境を、ユーザーの自主的な協力であるコミュニティノートで緩和する狙いもありそうだ。

また、Xがクリエイター広告収益プログラムを開始して以来、トレンドに上がったキーワードを散りばめただけで意味をなさなかったり、センセーショナルな誤情報を発信する投稿が増えたとの指摘もある。ほかイスラエル・ハマス紛争につきデマや根拠のない主張をした最も人気ある投稿のうち、実に74%がXにより認証されたアカウントによるとの報告もあった

今回の施策が、そうした傾向に歯止めを掛けると期待したいところだ。しかし、コミュニティノートそのものが正しいとも限らず、多少の効果があっても一時しのぎに過ぎないかもしれない。

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