EUは先月も、Xで誤情報の蔓延を報告していました

EU、ハマス・イスラエル紛争の偽情報対策をXに要請。応じなければ罰金の可能性も

Image:Shaheerrr/Shutterstock.com

欧州連合(EU)・欧州委員会欧州域内市場担当のティエリー・ブルトン委員は、Xのオーナーであるイーロン・マスク氏に書簡を送り、X(Twitter)上で暴力的コンテンツや偽情報が拡散していると厳しく警告した。

ブルトン氏は書簡の中で「ハマスによるイスラエルへのテロ攻撃を受けて、プラットフォームがEU内で違法なコンテンツや偽情報を広めるために利用されている兆候がある」と説明。EUの「デジタル サービス法では、コンテンツモデレーションに関して非常に厳格な義務が定められていることにご注意願いたい」と述べ、関連する違法コンテンツや偽情報の削除に24時間の猶予を与えるとした。

ブルトン氏は、Xではプラットフォームにおける「潜在的に違法なコンテンツ」への適切な対応がとられていないことを指摘している。そして「EUから違法なコンテンツの通知を受け取った場合、適切な対応を迅速かつ誠実に行い、必要な場合は関連コンテンツの削除が求められる」とし、「関係当局からの指摘があるにもかかわらず、X上で潜在的に違法なコンテンツが流通しているという報告書が、当該の情報源から届いている」と述べた。

この警告および要請は、複数の研究者や報道機関、団体などが、Xのプラットフォーム上で誤解を招く、または虚偽と思しきコンテンツが増加拡散し、紛争について混乱を引き起こしていることを受けて発行された。CNBCによると、Xが違法コンテンツに関する欧州の規制に従わない場合、年間収益の6%に相当する罰金が科せられる可能性があるという。

マスク氏はX上でブルトン氏からの書簡に対し「われわれのポリシーは、すべてがオープンソースで透明性があり、EUが支持しているアプローチだ」と主張し「X上で言及されている違反事項をリストアップしてもらえれば、公衆がそれらを見ることができる」と述べた。これはマスク氏がX上における偽情報や誤った情報、有害コンテンツに対するファクトチェックツールとして推進しているコミュニティノートについて述べているものと思われる。

またXは、ブルトン氏が書簡を公開した直後のアップデートで、過去3日間で500件を超えるノートが作成されたとし、そこには「ゲームシミュレーターで作られたフェイク動画」や「コンテキストから外れた、無関係な映像」に関するノートも含まれると述べている。またXが現在、より多くの投稿に自動的にノートを表示する機能変更に取り組んでおり、「過去に特定のコンテンツに関与した人々に対する通知」を「拡大」していると主張した。ただ、その拡大された通知がどれほどのユーザーに届いているのかは述べていない。

ちなみにEUは先月、デジタルサービス法の一部としてのプラットフォームによる誤情報や偽情報の取り扱いに関する調査において「元TwitterのXは、もはや規範に基づいていないが、誤った情報や偽情報の投稿が最も多いプラットフォームである」と報告している

CNBCは9日、イスラエル・ガザにおける紛争に関し、軍事作戦の生々しい映像などのコンテンツがXを含むSNS上に拡散していると伝え、偽情報によって現地で何が起こっているのかを正しく評価しにくい状況になっていると報じた。そして特にXでは、いくつかの投稿にはシステムによって誤解を招くか虚偽であるとのラベルが付けられたものの、同じ動画とキャプションを含む数十の複製された投稿にはフラグが付与されていないと報告している

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