アップルもGoogleも美味しい稼ぎを失う可能性

米連邦地裁、Googleは検索エンジン市場の「独占企業」との判決

Image:Ascannio/Shutterstock

米連邦地裁は、Googleが反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとの判決を下した。同社がアップルやその他の企業に約260億ドルを支払い、自社の検索エンジンをスマートフォンやウェブブラウザの標準オプションにしたことが、他の競合他社が市場で成功するのを効果的に阻止したとの判断である。

Googleは長年、iPhoneやMac用Safariのデフォルト検索エンジンの座を守るため、アップルに多額の金銭を支払ってきた。それは年間180億ドル~200億ドル(当時は約3兆円)にも上るとの試算もあった

米司法省がGoogleを反トラスト法違反の疑いで訴えた裁判にて、連邦地裁は司法省を支持。判決文のなかで「Googleの販売契約は、一般的な検索サービス市場のかなりの部分を排除し、ライバルの競争機会を損なう」と述べている。

Googleとアップルやその他のスマホメーカーとの契約は、Googleによる検索市場の独占を維持し、他の検索エンジンを競合から遠ざけ、支配的地位を強化する「重要な効果」を持つという。Googleはスマホ検索市場のうち約95%を占めているが、その一因は各社に支払われた代金にあると認められた格好だ。

このデフォルト検索エンジンの位置づけにより、Googleが検索広告により得られる年間収益は3000億ドルを超えているとのことだ。

司法省の主張によると、アップルはGoogleから受け取る金のために、他の検索エンジンに機会を提供したり、独自の検索製品を開発していないという。

実際、数年前からアップルが独自の検索エンジンを開発しているとの噂が相次いでいるが、いまだに日の目をみていない。またマイクロソフトのナデラCEOも、Safariのデフォルト検索エンジンになることが、どれだけ価値があるかを語っていたことがある。

アップル、Google、マイクロソフト、その他の企業の証言を総合した結果、裁判所はGoogleが検索市場を独占していると判断した。「Googleは独占企業であり、独占を維持するために独占企業として振る舞ってきた。シャーマン法(反トラスト法の1つ)第2条に違反している」と述べている。

この後、裁判所はGoogleの反競争的行為に対して次に取るべき行動を決める必要があり、そこには差止命令が含まれる可能性もある。

つまりGoogleとアップルが今後、検索エンジン契約を禁じられるかもしれない。その場合、両社は莫大な収益を失うことになるだろう。アップルはGoogleからデフォルト検索エンジン代金のほか検索広告収益を得られなくなり、Googleは何十億台ものアップル製品のデフォルト検索エンジンの地位を手放すことにも繋がる。

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