Googleが敗訴すればアップルも大打撃?

Google、アップルに「デフォルト検索エンジン代」年間3兆円を支払いか

Image:Koshiro K/Shutterstock.com

Googleがアップルに対して、iPhoneやMac用Safariのデフォルト検索エンジンの座を守るために、かなりの金銭を支払っていることは広く知られている。資産運用会社バーンスタインは、2020年には100億ドル、2021年には150億ドルに達する可能性もあると推測していた

しかし同社のアナリストは新たな投資家向けメモで、現在それは年間180億ドル(約2兆6800億円)~200億ドル(約3兆円)だと主張している。

米司法省がGoogleを反トラスト法違反の疑いで訴えた裁判では、Googleが検索エンジンを独占している証拠として、アップルとの情報サービス契約(ISA)が挙げられている。

最新のバーンスタイン分析は、米連邦裁がGoogleに不利な判決を下し、このISA契約を解除させる可能性があると前置き。その上で、ISAのもとでGoogleからアップルへの年間支払額は180〜200億ドルにおよび、アップルの年間営業利益の14〜16%を占めると推定している。

さらにGoogleはトラフィック獲得コスト(TAC)のもとで広告収入全体の22%を他社に支払っており、このうちアップルは40%程度を受け取っている可能性が高いとのこと。TACとは、他社が管理する媒体で広告を掲載する際に、Googleが媒体に対して支払う費用である。

今回のバーンスタインによる推定額は、TACのボトムアップ分析(個々の要素を細かく検討する)に加えて、アップルが公表している書類を元に算出している。司法省は裁判のなかで、アップルがGoogleとのISAから約100億ドルを受け取っていると述べているが、そちらは外部の情報源からであり、自ら推計したわけではない。

バーンスタインは、Googleのトラフィック獲得コストに関するボトムアップの分析に加え、アップル社が公表している書類に基づいて数字を算出している。司法省は裁判の中で、アップルはGoogleとのISAから約100億ドルを受け取っていると考えていると述べているが、その情報は外部ソースからのものである。

もしもGoogleに不利な判決が下った場合、バーンスタインが描くシナリオは3つ。1つは、他の検索エンジンをデフォルトにすること。あるいは、米国外ではGoogleとのデフォルト検索エンジン契約を維持し続けることだ。

そして可能性が高いとされるのが、アップルが(初期セットアップ時に)デフォルト検索エンジンの選択画面を表示することだ。バーンスタインは、アップル製品が600億ドル以上の広告収入を生み出せるとして、どのエンジンであれ(25~30%の範囲で)手数料を要求し続けると予想している。

そうした選択画面が導入された場合、アップルは独自の検索エンジンをオプションとして提供する可能性があるという。

先月、マイクロソフトがBing検索エンジンをアップルに売却することを検討していたと同じ裁判で明らかになっていた。しかし、アップルがGoogleから得られる収入が年間200億ドルに上っていたなら、当時のBingがAIチャットボットを組み込む前だったこともあり、実現の見込みは薄かったかもしれない。

アップルが独自の検索エンジンに取り組みつつも難航しており、主要な開発メンバーがGoogleに移籍してしまったため、実用化は早くとも数年先との報道もあった。一方で司法省による裁判の判決は来年まで出ないとみられており、Googleが敗訴しても上訴手続きで審理が長引く可能性もあるため、しばらく時間の猶予はありそうだ。

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