デフォルト検索エンジン契約は不可侵条約?

“BingはGoogle検索より劣る” マイクロソフトCEOが認める

Image:gguy/Shutterstock.com

米司法省がGoogleを反トラスト法違反の疑いで提訴した裁判にて、アップル幹部がGoogleを自社製品(iPhoneのSafari等)のデフォルト検索エンジンに選んだ理由は「他に有効な選択肢はなかった」からであり、今でも1つもないと述べていた。つまりマイクロソフトのBingは、Google検索よりも劣っていると言ったに等しい。

マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが同裁判で証言し、自社のBingがGoogleより劣っていると認めるとともに、アップル製品のデフォルト検索エンジンになることを莫大な損失を被ってでも望んでいるなど、数々の興味深いことを述べている。

司法省側のナデラ氏に対する質問は、アップル製品のデフォルト検索エンジンになるためにGoogleが数十億ドルを支払う契約と、それをマイクロソフトが代わりに契約できた場合、どのような意味を持つかに集中していた。

ナデラ氏は「ゲームチェンジャーになるだろう」と回答。もしアップルがBingに切り替えるなら、マイクロソフトは同社にあらゆる経済的メリットを提供する用意があり、年間150億ドルまでの損失を覚悟していると述べた。

その場合、アップル製品ユーザー向けにBingブランドを隠し、プライバシーに関するいかなる要望にも応えるとさえ語っている。ユーザーの行動を変えるという点ではデフォルトだけが重要であり、簡単に(Safari等の)検索エンジンを切り替えられるという体裁は「インチキ」だという。

そこまでデフォルト検索エンジンになることを望むのは、より多くの人が多くの検索を行う「クエリ・フロー」が増えるからだ。それはBing開発チームが改善に使えるデータや、広告主がBingに来る理由が増えることを意味している。

そうしたクエリ、データ、広告主、さらなるユーザーの獲得こそが検索エンジンの好循環であり、このサイクルによりGoogleのクオリティに素早く追いつけると考えているという。それが出来ない負け組のBingは “悪循環だ” と述べている。

実際、ナデラ氏はアップルのデフォルト検索エンジンになろうとしたが「上手くいかなかった」とのこと。興味深いのは、アップルがGoogleと契約を締結しているのは経済的なメリットが大きいだけでなく、Googleがデフォルトの座を失った場合に何をするか恐れているかもしれない、と指摘していることだ。

GoogleはGmailやYouTubeなど、大人気のサービスを数多く持っている。もしも、これらのアプリを使ってChromeのダウンロードを執拗に宣伝し、ユーザーにSafariブラウザを絶対に使わないように仕向けた場合どうなるか? ナデラ氏は、その恐怖がアップルとGoogleを結びつけていると主張している。

マイクロソフトは数年前、アップルとBing買収の可能性を話し合ったが、結局は進展がなかったと報じられていた。もしもマイクロソフトが望むのが短期的な利益ではなく検索エンジンから得られるデータの好循環だとすれば、AIを組み込んだ新生Bingのデフォルト検索エンジン採用を望んだとしても、売却はあり得なさそうだ。

関連キーワード: