Windows向けArmチップとしては大きく進化

Copilot+ PCに搭載の「Snapdragon X Elite」、Apple M3との性能差が判明

Image:Microsoft

クアルコムは最新のWindows PC向けチップ「Snapdragon X Elite」が、アップルのM3を凌駕するとしきりに強調してきた。そのチップが搭載された第11世代Surface Proほか「Copilot+ PC」がようやく発売され、ベンチマークの結果が次々と届き始めている。

まだ6月18日に発売されてから数日ということもあり、初期のベンチマーク結果にはばらつきがある。最新チップだけにベンチマークアプリが最適化されていないとも推測されるため、これら数値は後に変わりうる可能性もあることを留意されたい。

マイクロソフトとクアルコムが仮想敵としているMacBook Air搭載のM3は8コアCPUであり、対してSnapdragon X Eliteは12コアCPUである。それを反映するように、「マルチコア性能に限ってはM3を上回る」とのベンチマーク結果が発売前から登場していた

さて発売後のGeekbench 6.3による検証では、第11世代Surface Pro搭載のSnapdragon X Eliteはシングルコアスコアで2837、マルチコアで1万4398。それに対してM3 MacBook Airの平均値は、はシングルコアで約3000、マルチコアは約1万2000で、予想通りの結果である。

さらに消費電力をCinebench 2024によりテストしたところ、Snapdragon X Eliteは約14Wに対して、M3は10Wである。これらをまとめるとSnapdragon X Eliteは、「M3よりもシングルコア性能で劣り、マルチコア性能で勝る。バッテリー持ちでは(バッテリー容量によるが)及ばない」といったところだ。

こうした「ある程度は消費電力を犠牲にしてもマルチコア性能を稼ぐ」という点では、Snapdragon X EliteはM3よりもM3 Proチップに近い。もし両者を比較した場合は、全ての面で劣ることになりかねないため、クアルコムも相手を選んだのかもしれない。

しかも、すでにアップルはM4への移行を始めており、年末までにM4 Macも登場する可能性が高い。M4 iPad Proはシングルコア・マルチコアともにSnapdragon X Eliteを凌駕しており、しかも超薄型のファンレス仕様だけに、まだまだ伸びしろがある可能性がある。

とはいえ、クアルコム製のPC向けArmチップが性能と消費電力ともに大きく改善し、Appleシリコンとの差を大きく縮めたのは事実だろう。数年前のSnapdragon 8cx Gen 3等は、M1やM2とも比べる以前であり、同じ土俵にいなかった

さらにクアルコムに続いてMediatekもPC向けのArmチップを開発中だと報じられており、今後は競争原理が働くことで、WindowsノートPCも性能・バッテリー持ちともにMacBookに追いつくのかもしれない。

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