アップルのコア技術料も睨まれています
EU、アップル/Google/Metaを「デジタル市場法」違反で調査。罰金は総売上高の最大20%
欧州連合の執行機関である欧州委員会はデジタル市場法(DMA)に基づき、アップルとGoogle(厳密には親会社Alphabet)、Metaの法律違反に関する調査を開始したことを発表した。
これら米ハイテク大手はDMAのもと、主要プラットフォームサービスを提供している「ゲートキーパー」に指定されている。欧州委員会は、彼らの対応策が「法律を効果的に遵守しているとは言い難いのではないかと疑っている」と述べている。
まずアップルとGoogleに共通する疑いは、アプリストアに関する義務違反だ。「アプリ開発者がゲートキーパーのアプリストア外にあるオファーに、消費者を無料で “誘導” すること」を十分に認めていないという懸念である。
具体的には、両社ともアプリ開発者に「様々な料金を課す」ことを含めて、「オファーを自由に連絡および宣伝し、ユーザーと直接に契約を締結する」開発者の能力を制限しているという。
以下、3社それぞれの違反に関する欧州委の疑いである。
- Google検索が、GoogleショッピングやGoogleフライトなど自社サービスに誘導している可能性がある
- アップルは、iOSのデフォルトサービスや設定の選択画面において、利用者が真に選択することを妨げている可能性がある
- MetaがEU域内で導入した「支払または同意」モデル(広告なし有料プラン)にて、同意しない場合の実質的な代替手段が提供されず、個人データの蓄積を防ぐという目的が達成されない懸念がある
アップルは1月、DMAを遵守するため「代替アプリストア」や「アプリ外決済」をEU域内で許可すると発表。しかし、代替アプリストアであれ、最初の100万インストール以降は、1回当たり年間0.50(約80円)の「コア技術料」を課すことが物議を醸していた。
それを追うようにGoogleも、Playストア外でのダウンロードにつき、アプリ開発者に手数料を請求する方針を打ち出している。
こうした動きに対して、欧州委で競争政策を担当するマルグレーテ・ベステアー上級副委員長はReutersに対して「例えば、アップルの新しい料金体系が、DMAのメリットを事実上何ら魅力的なものにしないかどうか調査するつもりだ」と述べていた。欧州委としての発表にコア技術料への言及はないが、いずれ争点となる可能性もある。
名指しされた3社は、いずれも声明を発表。アップルは「我々の計画はDMAに準拠していると確信している」と述べ、Alphabetは「今後数か月間、我々のアプローチを堅持し続ける」とコメント。Metaは有料の広告なしオプションを「多くの業界で確立されたビジネスモデル」と呼んでいる。
EUの調査結果が出るまでには、しばらく時間がかかりそうだ。Bloomberg報道によると、規制当局が正式な調査を開始した後、12か月以内に最終決定を下すことを目指しているという。
もしもDMA違反が認定されれば、各企業は世界売上高の10%、違反を繰り返すと20%の罰金を支払わされることになる。先日、アップルが音楽ストリーミング関係で科された約5億ユーロが、小銭に見えるかもしれない。
- Source: European Commission
- via: Engadget