18歳未満ユーザー向けには広告表示を「一時停止」

FacebookとInstagramの広告なし有料プラン、欧州で11月から開始

Image:mundissima/Shutterstock.com

Metaは欧州にて、FacebookとInstagramの広告なし有料プランを11月から提供する。本サービスはEU、EEAおよびスイスにて18歳以上のユーザーが利用可能。ウェブ経由では月額9.99ユーロ(約1600円)、iOSとAndroid版アプリ経由ではストア手数料が加わって月額約12.99ユーロ(約2060円)となっている。

この有料プランは、ユーザーの同意を得ずにターゲティング広告を表示することを制限する、EUのデジタル市場法やGDPR(EU一般データ保護規則)に対応するものだ。

今月初め、Metaは現地の規制当局に、ユーザーに「ターゲティング広告を非表示にする代わりに月額料金を支払う」か「無料でサービスを利用し続けるが、アクティビティなどのデータ収集に同意するか」を選ばせることを提案したと報じられていた

Metaはブログ記事で「我々は、これら進化する欧州規制の精神と目的を尊重し、それらを遵守することを約束する」と表明。そして有料プランの開始後も、ターゲティング広告付きで無料で使い続けられると述べている。非課金ユーザーの体験に変更はなく、広告体験を管理するツールも引き続き利用できるとのことだ。

広告なしの有料プランは、当初はMetaアカウントに紐付けされた全てのFacebookとInstagramアカウントに適用。2024年3月からは、登録されたアカウント1つ毎に追加料金を請求すると予告している。

その一方、Metaは10代のユーザー向けに別のプランを準備しているようだ。米The Wall Street Journalは、同社がEUにて、18歳未満の全ユーザーに対する広告の表示を11月6日から一時停止すると報道。いつまで続くかは不明だが、たとえ一時的なものであれ、最大市場のひとつEUにおいては大きな戦略転換と言える。

もっともMetaは、同じブログ記事で「広告に支えられたインターネット」を信じていると述べており、依然としてターゲティング広告を主要な収入源に位置づけているのは明らかだ。今後も「広告付きインターネットをEUで提唱し続ける」と付け加えており、しぶしぶ現地の規制に従う姿勢を隠していない。

日米など、ターゲティング広告を支える個人データ収集の規制が強化されていない地域では、しばらくは有料プランの提供は望み薄だろう。とはいえ、Metaが「お金と引き換えに、行動履歴の追跡や広告表示を止める」選択肢を用意したことは画期的であり、実際にどれだけ課金するユーザーがいるのかを見守りたいところだ。

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