アップルとSpotifyの確執は続きそう

EU、アップルに約800億円の罰金との報道。アプリストアでの競争阻害で

Image:nikkimeel/Shutterstock.com

欧州連合(EU)はアップルに対して、競争法(独禁法)違反の疑いで約5億ユーロ(約5億4000万ドル/約800億円)の罰金を科すと、英Financial Timesが匿名情報筋の話として報じている。この措置は、来月初めに発表される予定だという。

今回の報道では、「アップルが自社のApple Musicに代わる安価な音楽ストリーミングサービスをユーザーに伝えることを妨げている」とのSpotifyからの訴えを調査した結果、この罰金が下されたと伝えている。

この問題は、アップルがアプリとユーザーをApp Storeの決済システムに囲い込もうとしたことに起因している。2019年、SpotifyはアップルがApple Musicと競合するアプリに対し、刻々と変わるルールと30%の手数料を課すことで「度しがたい」状況を作り出していると訴え、その翌年にEUの調査が始まった。

EUは、アップルが開発者に対して、アプリ内から外部サブスクリプションへの誘導さえ禁止していることに競争法違反の可能性があると指摘し、問題を絞り込んでいった。日本でも公正取引委員会が調査したことを受けて、アップルは全世界で「リーダー」アプリに限って外部リンクを許可することになった

この800億円という金額は大きいような印象を与えるが、EUが昨年初めに新たな異議告知書をアップルに送付した際は、全世界における同社の売上高10%(約6兆円)を上限とする罰金を検討していた

アップル広報は、テックメディアThe Vergeに対して「憶測にはコメントしない」と返答。さらに過去に述べられた、欧州委員会がメリットのない苦情の追求を止めることを望んでいるとの声明を引用したという。

先日アップルはEUのDMA(デジタル市場法)に対応するため、現地でのiOSおよびApp Storeの変更を発表した。それによりApp Store以外の代替アプリストアやアプリ外決済が利用可能になる一方、無料アプリにも課す「コア技術料」が大きな批判を集めている。こちらも新たな火種となる可能性がありそうだ。

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