8nmチップなら製造不足にならないはず
Switch 2、価格は「6万円以上」との試算
最近にわかにNintendo Switchの後継モデル、通称「スイッチ2」の発表・発売時期に関する噂が相次いでいる。海外メディアEurogamerなど複数の情報源が2025年初頭に発売説を唱えた直後に、日経新聞が「2025年3月にも発売へ」と報じていた。
そんななか、スイッチ2の価格が399ドル~499ドル(約6万円~7万5000円)になる可能性が高いとの予想が報じられている。
もちろん任天堂はスイッチ2の存在を公式に認めていないが、その仕様に関しては多くのリーク情報や推測が届けられてきた。
ざっくりまとめれば、NVIDIAの未発表SoC「T239」(車載用チップTegra Orin=T234のカスタム版)を搭載。NVIDIAのAmpereアーキテクチャを採用し、1280基のCUDAコアを内蔵、サムスンの8nmプロセスで製造するといったところだ。
未発表CPUやGPUに詳しいYouTubeチャンネル「Moore’s Law is Dead」の新たな動画では、NVIDIAの情報筋に基づき、サムスンの8nmプロセスノードがスイッチ2向けSoCの条件を完璧に満たすと語っている。
さらに「8nmは市場で最もコストの低いトランジスタノードであり、今後数年間は、より世代の新しいノードほど生産能力の奪い合いにならないと予想される」とのこと。
ここでいう○nmとは半導体の回路線幅(プロセスノード)のことで、数字が小さくなるほど性能や電力効率も向上(消費電力が低下)する傾向がある。たとえば2020年末に発売された初代PS5のプロセッサーは7nmチップであり、8nmはそれ以前の世代になる。
そして、世代が新しい=プロセスノードが微細なほど生産能力は限られ、各メーカーの奪い合いになりやすい。当初PS5の出荷台数が絞られたのは、それが一因だと見られているが、逆に古い世代であれば他社とかち合わず、品不足に陥りにくいということだ。
さらにNVIDIAの匿名情報筋は「128ビットのLPDDR5であれば、任天堂は我々が設計したSoCで8GB、12GB、16GBの容量を選べることを覚えておいて欲しい」とも付け加えている。
このLPDDR5とはT239が対応するRAMであり、搭載容量に8~16GBの幅があると示唆しているわけだ。現行スイッチのRAMは4GBに過ぎず、最低でも2倍、上限4倍になり得ることを意味している。ちなみにPS5/Xbox Series Xともに搭載RAM容量は16GBである。
また別のNVIDIA関係者は、昨年のDigital Foundryによるスイッチ2性能の推測につき、ほぼ「真実の要約として完全に正しい」と述べている。つまり、基本性能はPS4やXbox Oneと同等ながらも、超解像技術により表現力を底上げできる可能性が高まった。
興味深いのは、AMDがスイッチ後継機のアーキテクチャを設計したかったが、結局NVIDIAに競り負けた、と情報筋が述べていることだ。前モデルからの後方互換性を実現するためには、同じNVIDIAチップが現実的と思われるが、PS5やXboxにチップを供給するAMDが任天堂に秋波を送っていたのはあり得そうである。
また、スイッチ2のハードウェアは数年前から完成していたものの、任天堂は現行モデルが店頭から消えるのを待っているようだ。
やはりNVIDIAの情報筋は「私が知る限り、スイッチ2には何の問題もない」「実際、ハードウェアとソフトウェアはかなり以前に完成しており、いつ発売するかについては、もう何年も前から任天堂の胸先三寸だった」と語っているという。
これらの証言は、すべてDigital Foundryの「スイッチ2はRTX 2050内蔵のノートPCに性能が近い」ことを裏付けている。そこからMoore’s Law is Deadは、スイッチ2の価格は399ドル~499ドルになる可能性が高いとしつつ、349ドル(約5万2000円)でも少しは利益が出ると試算している次第だ。
今どき8nmチップは時代遅れの感もあるが、携帯ゲーム機に高性能のチップを載せてもバッテリー持ちが悪く、また発熱問題が解決し切れていないことは、最近のモバイルゲーミングPCが証明しているところだ。
それに任天堂の場合、切実に求められているのは「転売屋に買い占められないほどの生産台数を確保する」ことであり、様々な側面から今回のリーク情報は説得力がありそうだ。
- Source: Moore’s Law is Dead(YouTube)
- via: Wccftech