より重要度の低い製品への採用はある?

アップル、独自Wi-Fiチップ開発も不調か。「iPhone 16」への採用は望み薄

Image:Poravute Siriphiroon/Shutterstock.com

アップルが自社製品に使うコンポーネントを可能な限り独自開発に切り替え、他社への依存を断ち切ろうとしていることは公然の秘密だ。すでにiPhoneのAシリーズチップやMac/iPad Pro向けMシリーズチップに関しては完了済みだが、その他のチップは苦戦している様子がたびたび報じられてきた。

その1つであるWi-Fiチップも「ある種のボトルネック」に突き当たり、少なくとも短期的にiPhone等への採用が実現する見通しは立っていないと台湾DigiTimesが報じている。

今年初めにアップルは、独自にWi-FiとBluetoothのチップを開発中であり、2025年には米Broadcom製ワイヤレスコンポーネントの使用を止める予定だと伝えられていた。だが、5月には一転してBroadcomとの数十億ドル規模の契約を発表。つまり、今後数年の間はBroadcom製チップに依存し続けると表明したも同然である。

今回のDigiTimes報道は「いま噂されている進捗状況や様々な技術的制約から、アップルが自社開発したWi-Fiチップを2025年に市場に投入するのはかなり困難だろう」という情報筋の話を伝えている。

さらに「アップルの独自開発Wi-Fiチップには、一般的な信頼がない」とも付け加えている。Wi-Fiチップ市場全体のトップに位置するBroadcom製品を追い越すことは、アップルにとっても困難には違いないというわけだ。

これまでの報道では、独自設計5GモデムやWi-FiチップのどれもがiPhoneに初導入することが目標だと述べていた。しかし、アップルの製品ラインアップの柱であるiPhoneは、どんな失敗も許される状況ではない。その売上げの足を引っ張らないためには、BroadcomやQualcommチップと同等の接続性と消費電力性能を達成することが必須だ。

それは非現実的に見えるため、DigiTimesはiPhoneへの独自Wi-Fiチップ搭載を(少なくとも一時的に)中止し、代わりに「非主流製品から始める可能性が高い」と示唆している。

情報筋は「アップルがエリートチームを引き抜くか採用し、開発に多大なリソースを投じない限り、短期的に実用的な無線チップを開発できないだろう」と見ているという。さらに「周辺チップに多大な労力を費やすことが、単に外部からチップを調達するよりも費用対効果が高いかどうかも不透明だ」とも付け加えている。

しかし、アップルは単なるコスト削減ではなく、長期的に自社製品や将来のアップデートに関するスケジュールの制御を切望しているとみられている。かつてMacはインテル製チップを搭載していたが、インテルのチップ開発が遅れると引きずられてしまい、そのためMacの性能向上はWindows PCよりも遅れていた。

それがAppleシリコン(独自開発チップ)に移行するや、Macは毎年のようにプロセッサーの更新が可能となり、PC市場におけるシェアもみるみる改善していった。その成功体験があるため、5GモデムやWi-Fiチップも粘り強く開発が続けられるのかもしれない。

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