設計や製造のコストダウンが可能に
アップル、Apple Watch/iPhone/MacのCPUを共通化するスケーラブル設計採用か
Apple Watch Series 9やApple Watch Ultra 2は、新設計されたSiP(System in Package)「S9」を搭載している。それ以前は3年にわたり、事実上同じCPUを使い続けてきたが、ようやく刷新されるとの噂が発表前に注目を集めていた。
当時S9は、iPhone 13に使われたA15ベースだと予想されたが、実はA16ベースであり、さらにApple WatchやiPhone、Mac向けチップまでCPUやGPUコア設計を共通化していると明らかになった。
これは国内メディアEE Timesが、チップ開封と写真比較から突き止めたことだ。A16 BionicとS9の高効率コアとGPUコアが同じものであり、それぞれ4基から2基へ、5コアから1コアへとスケールダウンしているとのこと。
こうしたスケーラブル・アーキテクチャ(大規模から小規模まで柔軟に対応可能)は、設計や製造コストを大幅に節約することに繋がる。Apple WatchにとってA16は過剰なスペックであり、筐体内部のスペースや消費電力的にも多くのコア数は無理がある。
また、1世代前のiPhone向けCPU設計を流用するのは、より過去の世代の製造プロセスが使えることを意味する。A17 Proに使われたTSMCの3nm技術「N3B」は非常に高価だとみられており、それより古い4nm技術で作れるのはコスト面でメリットが大きい。
アップルがM3、M3 Pro、M3 Maxのテープアウト(半導体設計の最終段階、設計から製造に移行する工程)だけで10億ドルかかったとのアナリスト分析もあった。Apple Watch向けチップには最先端の性能は求められておらず、専用のCPUを設計をすることにあまり意味はないだろう。
このスケーラブル戦略のもとでは、ベースとなるiPhone向けチップが進化すれば、Apple Watchも進化することになる。もしも、次期「Apple Watch Series 10」のSiPがA17 Proベースとなれば、さらにレスポンスが良くなり、バッテリー持ちも改善されるのかもしれない。
- Source: EE Times Japan
- via: Wccftech