10月に発生した歩行者死亡事故が大きく影響

GMのロボタクシー子会社Cruise、CEO含む創業幹部が相次ぎ辞任

Image:Iv-olga/Shutterstock.com

ゼネラルモーターズ(GM)傘下の自動運転ベンチャーCruiseから、CEOのカイル・フォークト氏と、最高製品責任者(Chief Product Officer)のダニエル・カン氏が相次いで辞任した。

フォークト氏はX(Twitter)への投稿で「これまでの10年間は素晴らしいものだった」と述べ、「自宅のガレージで立ち上げたスタートアップが複数の都市で25万回以上の無人乗車を実現した」ことを振り返った。そして今後の予定としては、まず「新たなアイデアを模索する」ために休暇をとるつもりだとした。ちなみにフォークト氏は、Cruise以前にJustin.tv、Twitch、SocialcamといったITベンチャーを共同設立してきた経験を持つ。

フォークト氏の辞任は、GMが法務・政策担当上級副社長のクレイグ・グリデン氏をこの子会社の最高管理責任者(Chief Administrative Officer)に任命した後に明らかになっている。現在、Cruiseの法務、コミュニケーション、財務部門はグリデン氏の監督下にある。

そして、フォークト氏辞任の翌日、今度はCruiseの共同創業者でCPOを務めて来たダニエル・カン氏が辞任することが発表された。Cruiseはカン氏の辞任理由について述べていない。

Cruiseは10月2日、サンフランシスの路上で他のクルマに接触して倒れ込んだ歩行者をはね、自動運転車の下敷きにしたまま数メートル走行して死亡させる事故を起こした。この件が今回の辞任のきっかけになった可能性は高い。フォークト氏は辞任発表の前日、社内へのメールでこの事故について謝罪していたという。

親会社のGMは現在、この事故に関し安全性調査を行っている。死亡事故の発生以来、カリフォルニア州DMVはCruiseへの無人運転の許可を一時停止しており、Cruiseも無人、オペレーター搭乗タイプ関係なく、すべての自動運転車の公道走行を取りやめている。

死亡事故の発生後、ニュースサイトThe Interceptは、Cruiseの自動運転車が小さな子どもや路面に大きくあいた穴を認識する能力に劣っていることを報じた。Cruiseは各地で路上走行していたロボタクシー約950台をリコール、搭載する衝突検出システムの分析および改良に取り組むなど「世の中の信頼を回復すべく」様々な措置を講じている。だが、まだその道のりは遠いといわざるを得ない状況だ。

相次ぐ辞任劇のあと、GMは2人の後任を置く代わりに、Cruiseの技術担当執行副社長モー・エルシェナウィ氏を社長兼最高技術責任者(CTO)に任命、最高総務責任者(CAO)のクレイグ・グライデン氏を共同社長に、そしてGMからジョン・マクニール取締役をCruiseの取締役副会長に示したと発表した。

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