M2を仮想敵にしていたクアルコムはどう反応?

まもなく「M3」「M3 Pro」「M3 Max」発表か。M2より大幅改善の見通し

Image:Nanain/Shutterstock.com

アップルは31日午前9時~の「Scary Fast.」イベントで、複数の新型Macモデルを発表すると予想されている。それに合わせて、iPhone用A17 Proと同じくTSMCの3nm技術で製造された3つの「M3」チップも登場する見通しだ。

これらM3シリーズチップにつき、著名ジャーナリストが詳細な情報を発信している。

アップルの未発表製品に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、自身のニュースレター「Power On」にて、3つの新たなMac用チップとして「M3」「M3 Pro」「M3 Max」が発表されると主張している。

一度に3つの新型チップ、しかも全てが3nmプロセス技術に基づくことは、かなりのインパクトになるとのこと。競合他社は3nmチップをほとんど投入できておらず、その一因が「アップルが2023年内、TSMCの3nm製造ラインをほぼ全量確保」にあることは何度か報じられてきた

Gurman氏によると、M3シリーズチップはM2から速度と電力効率ともに大幅に向上し、ノートPCのバッテリー持ちが長くなるとのこと。3つの新型チップの詳細は、以下の通りだ。

  • M3:CPUは8コア(高性能コア×4、高効率コア×4)、GPUは10コア。これはM2のコア数と同じだが、より高速なユニファイドメモリに対応し、「各コアからはるかに高速なパフォーマンスを引き出す可能性が高い」という
  • M3 Pro: 複数の構成があり、標準構成はCPU12コア(高性能コア×6+高効率コア×6)とGPU18コア。上位バージョンは、CPU14コアとGPU20コアとのこと。ちなみにM2 ProはCPUコア数が10または12、GPUコア数は19である
  • M3 Max:こちらも複数の構成があり、CPU16コア(高性能×12+高効率×4)とGPU40コア版もあるという。また、GPUコア数が32のバージョンもあると述べている。現行のM2 MaxはCPU12コア+GPU30コア、ないしCPU12コア+GPU38コアである

今回のM3シリーズチップ投入は、アップルが主要な新世代チップの開発に掛かる時間を短縮したことも示している。M2は最初のM1チップが登場してから19か月後に発表されたが、31日にM3が発表されれば、ブランクは16か月に縮まるというわけだ。

2020年末に独自開発のM1チップ搭載Macを発売してから2年間、アップルはPC業界とチップ業界で台風の目となっていた。主にMacBookの性能は急激に向上するとともにバッテリー持ちも改善され、新型コロナ禍のもとリモートワークや在宅学習も追い風となり、急激にシェアを増やしていった。

しかし、今やMacは精彩を欠いている。今年6月に発売された15インチMacBook Airも初動は不振を極め、2023年内のMacBook出荷台数は前年比30%減との予測もある。それは新型コロナ禍が収束しつつあるほか、M2がパワー不足で買い控えが起きたためとの見方もある

その一方でインテルは復活の兆しを見せ、クアルコムはWindows PC向け最新SoC「Snapdragon X Elite」を発表。いわば、Mac包囲網は着実に狭まりつつある。

しかし、Snapdragon X Elite搭載製品は2024年半ばまでに登場する予定で、まだ先のことだ。しかも「M2と比べてマルチスレッドで50%高い性能」ともアピールしているなか、再びM3が再逆転して突き放すのか。正式発表後のベンチマーク結果を待ちたいところだ。

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