Snapdragon X EliteはM2への対抗心むき出し

クアルコム、最新SoC「Snapdragon 8 Gen 3」と「Snapdragon X Elite」発表

Image:Qualcomm/YouTube

米クアルコムは年次イベント「Qualcomm Summit」にて、次期スマートフォン/タブレット向けSoCおよびPC向け最新SoCを発表した。

Snapdragon 8 Gen 3

まず「Snapdragon 8 Gen 3」は、次期ハイエンドスマートフォン/タブレット向けSoCであり、Snapdragon 8 Gen 2の後継モデルだ。

このチップは4nmプロセスで製造され、CPUはプライムコアCortex X4(最大3.3GHz)が1個、パフォーマンスコアがCortex-A720で最大3.2GHzが3個、最大3GHzが2個。そして高効率コアCortex-A520(最大2.3GHz)という1+5+2構成となり、前モデルの1+4+3からバランスが変更されている。

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CPU全体では、従来から30%高速化し、電力効率は20%向上。またAdreno GPUは、25%の電力効率向上と同時に25%の性能向上を実現したとのこと。かたやゲーム方面では、レイトレーシング性能が1.5倍向上しているという。

さらに、NPU(Neural Processing Unit)は前世代比で約2倍の高速化と40%の電力効率改善を果たし、オンデバイスの生成AIユースケースを想定しているとのことだ。具体的には大規模言語モデル(LLM)の7B Llama 2をローカルで最大15トークン/秒で実行可能として、LlamaをベースにしたAIアシスタントのデモを行った。

そうした生成AI機能が活用できる用途の1つがカメラだ。選択した人物や物体を消せる「Video Object Eraser」や、AIを搭載したNight Visionビデオなどの機能もある。顔、髪、服、空を識別して最適化する「Semantic Segmentation」は、最大12レイヤーをサポートし、自撮りカメラと背面カメラの両方で有効だという。

内蔵ディスプレイは最大4K Ultra HD/60HzないしQHD+/144Hzに対応し、外部ディスプレイの最大解像度は8K/30Hzとのこと。

このSnapdragon 8 Gen 3を搭載した製品は、「今後数週間」のうちに登場するという。具体的なメーカーはASUS、Honor、iQOO、Meizu、Nio、Nubia、OnePlus、OPPO、realme、Redmi、RedMagic、ソニー、vivo、Xiaomi、ZTEだと明かされている。

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Snapdragon X Elite

次に「Snapdragon X Elite」は、クアルコムのWindows PC向け最新SoCだ。4nmプロセスで製造され、CPUコアには独自設計の「Oryon」を採用。12コアのプロセッサーは、生成AIのような重い処理を行う場合、そのうち2つのコアを最大4.3GHzまでブースト動作できるという。

クアルコムは、インテルの第13世代Coreプロセッサーと比較して、同じ消費電力で2倍のCPU性能を発揮できると主張。同等の性能を、68%も少ない消費電力で実現するとも謳っている。

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さらにアップルのM2チップと比べて、マルチスレッドで50%高い性能を発揮できるとのことだ。

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Windows PC向け製品として最大の魅力の1つは、5Kの外付けディスプレイなら2台、UHDであれば3台を同時に接続できることだろう。内蔵ディスプレイは120Hzの4Kにも対応し、モバイルからデスクトップ用途まで優れた選択肢を提供することになる。

ほかは概ね、数日前にリークされた公式スライド通りの内容である。内蔵GPUは4.6TFLOPSの演算性能を達成し、内蔵NPU(Neural network Processing Unit)は45TOPSの演算性能により「130億のパラメータを持つ生成AI」も実現するとのことだ。

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いずれのSoCも、流行りの生成AIに重きを置きつつも、「高性能と電力効率の両立」を前面に打ち出していることから、iPhoneやMacといったAppleシリコン(独自開発チップ)搭載製品への対抗意識が強烈に窺えるといえそうだ。

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