マイクロソフト提携も、ChatGPTが金食い虫のため?

OpenAIが「独自AIチップ」検討の報道。NVIDIA製の高騰や供給不足のため

Image:Dennis Diatel/Shutterstock.com

マイクロソフトのBing AI ChatやGoogle BardなどAI競争が本格化しているなか、OpenAIが独自のAIチップ製造を模索しており、すでに買収を視野に入れた半導体企業の評価まで行っているとReutersが報じている。

最近の社内での協議では、まだ計画を進めるかどうかを決めていないとのこと。しかし少なくとも昨年から、OpenAIが依存している高価なAIチップの不足を解消するため様々な選択肢を検討していたという。

その選択肢には独自のAIチップ製造のほか、NVIDIAほか半導体企業との協力を緊密にすることや、NVIDIA以外にもチップ供給元を多様化することも含まれていると伝えられている。

サム・アルトマンCEOは、顧客が自社APIの信頼性とスピードに懸念を抱いているのはGPU(AIチップ)不足のせいだとして、その確保を最優先事項にすると述べていたことがある。またReutersは、同氏がNVIDIAが世界市場の8割以上を支配するGPUが不足している現状に不満を表明していたと指摘している。

OpenAIが擁するChatGPTの維持には、莫大なコストが掛かる。資産運用会社バーンスタインのアナリストによると、ChatGPTへのクエリ(質問)がGoogle検索の10分の1の規模に成長した場合、必要なGPUは約481億ドル(約7兆円)、運用を続けるには年間約160億ドル(約2兆4000億円)もの追加GPUが必要となるという。

またOpenAIは毎月8000万ドル(約120億円)の収入を上げているものの、昨年5億4000万ドル(約803億円)の損失を出しているとの報道もあった。同社がマイクロソフトにAI技術を提供し、見返りに数十億ドルの出資を受けた背景には慢性的な資金不足があったようだ。

これに先立ち、マイクロソフトは2019年からLLM(大規模言語モデル)向け独自AIチップ、コード名「Athena」を開発しており、同社とOpenAIの一部従業員がテストしているとThe Informationが報じていた。このAthenaとOpenAIが検討しているという独自チップとの関係は、今のところ不明である。

NVIDIAのジェンスン・ファンCEOは「ChatGPTはAIがiPhoneになった瞬間だ」と称賛していたが、それは空前のAIチャットボット需要が自社の売上を急激に押し上げているからだろう。今後はハイテク各社ともAIチップの内製化に舵を切りそうだが、実用化までは数年単位で掛かることが予想され、しばらくはNVIDIAの快進撃が止まらなさそうだ。

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