OpenAIのおかげでGPUが売れまくっている?

ChatGPTによって「AIがiPhoneになった」 – NVIDIAジェンスン・フアンCEO

Image:Michael Vi/Shutterstock.com

昨年11月にOpenAIが「ChatGPT」を公開するや瞬く間に大ブームとなり、最近もGoogleとマイクロソフト、さらにはOperaもAIチャットボットの投入を予告する事態となっている。

こうした情勢のなか、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは大学での講演で「ChatGPTはAIがiPhone(ほど世界を変える製品)になった瞬間だ」と発言したと報じられている。

新型コロナ禍のもとでの巣ごもり需要も一段落したあと、NVIDIAは一時、ゲーミング用GPUの在庫がはけない問題に悩まされていた

だが、それももはや過去のことだ。NVIDIAはAI技術の最前線にあり、ハードウェアおよびソフトウェアをともに提供している。同社の最新(当時)GPU「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」は、業界標準のAIベンチマークで世界記録を樹立したこともあった。AIチャットボットのブームは、この上ない追い風となっている。

ジェンスンCEOは、米カリフォルニア州のBerkeley Haas校での講演で学生からChatGPTの質問を受け、多くのことを語っている。たった数日のうちに何千万に届き、様々な用途に使われたが、これはもっと大きなことの始まりに過ぎないとのことだ。

さらに、ChatGPTをAIにとって「iPhoneとなった瞬間」と呼び、本質的にコンピューティングを民主化したと述べ、AIとコンピューティング業界にとって最も素晴らしい出来事だと語っている。

ジェンスン氏が特に驚くべきことと指摘しているのは「みんながそれぞれ違う理由で使っていて、みんながそれを楽しいと思っている」ことだ。詩を書くことも、スプレッドシートに記入することも、SQLクエリを書いて実行することも、Pythonコード(プログラム)を書くこともできる。「これほどまでに万能で、これほどまでに問題を解決し、人々を驚かせる技術」は誰もが見たことがないという。

これはウェブブラウザが出来て無数のウェブサイトが生まれたことや、iPhoneが登場して2週間ほどでアプリストアからダウンロードできるソフトが作成可能になったことにも匹敵する、との趣旨が語られている。

この40年間、コンピュータの進化は人間がプログラミングするのをどんどん難しくしてきた。そのため技術格差は大きくなったが、今後はコンピュータに「プログラムを書け」と命令するだけでいい。そう述べるジェンスン氏は、OpenAIがやったことを「これまでのコンピューティング技術で最も素晴らしいことの1つ」と称賛し、「ついにコンピューティングが民主化された」と述べている。

ジェンスン氏の喜びは、おそらくNVIDIAの売上に裏打ちされたものなのだろう。OpenAIはすでに2万5000個ものNVIDIA製GPUを使っており、ChatGPTの大成功は他社からのさらなる受注に繋がっている。実際、NVIDIAの株価は今月に入ってから、40%以上もの強烈な伸びを示しているのだ。

NVIDIAは今月22日(現地時間)に2023年第4四半期の業績を発表する予定であり、その場で今後のAI向けGPUへの言及があるかどうかも注目したいところだ。

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