ただし15 Proよりチップ性能が落ちるかも

次の「iPhone 16」標準モデル、A17チップと8GB高速RAMを搭載する可能性

Image:Apple/YouTube

アップルは9月13日深夜のオンラインイベントで、標準モデルiPhone 15およびiPhone 15 Plusを正式発表した。前モデルにあったノッチ(画面上部の切り欠き)はDynamic Island(楕円状スペース)に変更、LightningコネクタはUSB-Cポートに取って代わられ、様変わりした印象を受ける。

しかし、来年(2024年)の「iPhone 16」および「iPhone 16 Plus」は、iPhone 15 Proモデルに搭載されたA17チップが採用され、RAM容量も増えると著名アナリストが主張している。

香港投資会社のアナリストJeff Pu氏は投資家向けメモの中で、来年のiPhone標準モデルのRAMが大幅に増加し、LPDDR5に切り替わると指摘している。iPhone 15標準モデルにおけるRAMの容量や種類はまだ明らかではないが、iPhone 14世代と同じ6GB/LPDDRX(LPDDR5よりも低速)だと予想されている。

iPhone ProモデルのRAM容量は2020年のiPhone 12以来、一貫して6GB止まりだった。それがiPhone 15世代では、初めて8GB/LPDDR5を搭載するとみられている。つまり2023年のProモデルに採用されたA17 Proと8GB RAMの両方が、1年後の標準モデルにも “トリクルダウン” することになる。

またPu氏は、iPhone 16標準モデルに搭載されるA17と次期「A18 Bionic」チップは、台湾TMSCの次期3nmノード(製造プロセス)技術「N3E」で作られると付け加えている。iPhone 15 Proモデル用のA17 Proは、N3Bで製造されるとの説が有力である。

ここでいうN3Bは、TSMCがアップルとの提携で実現した初期3nmノードのことだ。これはアップルが2023年内にほぼ全量を独占したと噂され、2024年以降は後継ノードのN3Eが他のベンダーも利用可能になる見通しだ。

もともとN3Eは、N3Bの性能向上版となるはずだったが、途中で製造過程をシンプルにして歩留まりを上げる方針へと変更。その結果、コスト削減と引き換えに性能が落ちる可能性があると、中国SNSでの指摘があった

またN3Bは、事実上の試験ノードとして設計されたため、N3P、N3X、N3Sを含むTSMCの後継プロセスとは互換性がない。そのためアップルは、技術革新の恩恵に預かるには、将来のチップを再設計する必要がある。

「iPhone 16標準モデルのA17はN3E製造」との噂が報じられた当時、同じチップでここまで大がかりな変更が加える可能性は低く、疑わしいと見る向きもあった。

先代のA16 Bionicも、当初はレイトレーシングなどグラフィック機能の大幅な世代交代を計画していたが、致命的な問題が発見されたことから、A15 BionicのGPUベースに戻したと報じられていた。それが本当であれば「チップ設計を急きょ変更」は、アップルにとって実現困難ではなさそうだ。

これらを総合すれば、アップルは当初A16 Bionic向けに用意したCPUとGPUコアの設計を初期のA17 Proに使用し、2024年後半にはN3BからN3Eにシフトしつつ、本来あるべきA17チップの設計に切り替えるのかもしれない。この推測が当たっているかどうか、将来のチップ専門家による分析を待ちたいところだ。

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