「ダウンロードしないPS5ユーザー」だけではニッチすぎる

PS5タイトルのクラウドストリーミング、2023年度内に開始か。PCやProject Q対応も視野?

Image:Rokas Tenys/Shutterstock.com

今週初め、ソニーはPS5クラウドストリーミングのパブリックベータテストを開始した6月に予告していたように、PS5タイトルをダウンロードせず、PS5本体で遊べるというものだ。

海外ゲームフォーラムResetEraの投稿からは、4K解像度も選べることが明らかになっている。これは競合するXbox Cloud Gamingの最大1080pを超える仕様である。

そんなPS5クラウドストリーミングを支える技術の詳細を、信頼性の高いリーカーTom Henderson氏が伝えている。新たなストリーミング・アーキテクチャは、社内で「Project Cronos」と呼ばれ、PS5のストリーミング体験を強固にすることを目指しているという。

このCronos開発は、PS5を取り巻く複雑性から、5年前から取り掛かっているとのこと。PS5のSSDは非常に高速である一方、現在の市場にある技術を使って必要なインフラを用意するのは不可能、という新たな課題が浮上。そこでソニーはフューチャーテクノロジーグループ(SIEの一部門)のもと、コード名「Kura」と呼ばれる新たなネットワーク・ストレージ・サーバーを設計したそうだ。

情報筋によると、Kuraは最大5GB/秒のデータを1ミリ秒未満のレイテンシ(遅延)で読み取れるという。PS5内蔵のSSDは5.5GB/秒ものアクセス速度を誇るが、その上ボトルネックを排除するため多くのカスタムチップが組み込まれて “本当に” 高速だと、Digital Foundryのジョン・リンネマン氏が説明していたことがある。それをストリーミングベースで再現するには、特殊な技術が必要ということだろう。

さらに、ソニーはPS5のクラウドストリーミングを展開するため、15の都市に合計28のデータセンターを設置し、2023年度内(2023年4月~2024年3月)に本格的にサービスを開始する計画とのことだ。

今のところソニーは、本サービスをPS5本体のみ利用可能としている。だが、これほど大規模な投資をしているとすれば、「PS5本体を持ち、ダウンロードを避けるユーザー」だけを対象としたニッチな範囲に留めるとは考えにくい。かつてのPlayStation Nowのように、PCでの利用も視野に入れている可能性もあるだろう。

また、ソニーの携帯ゲーム機「Project Q」もリモートプレイに特化しているというが、リークされた動画からはAndroid搭載の可能性がうかがわれる。ソフトウェア更新により、PS5クラウドストリーミング対応もあり得るのかもしれない。

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