帰還中の船内環境も調べる予定

冷却水漏れのソユーズ宇宙船、無人で地上帰還。原因を詳しく調査へ

Image:Roscosmos/YouTube

昨年12月に、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキング中だったMS-22ソユーズ宇宙船で発生した冷却水漏れの問題は、この船でISSへやって来たMS-22長期滞在クルーの帰還の手段と、ISSに何か問題が発生したときの避難場所としての機能を不完全なものにした。

船外カメラなどを駆使した点検作業により、ソユーズの冷却水漏れは、1cmにも満たない微小な隕石の衝突による仕業であるとの結論に至った。飛行士の安全な地上への帰還を保証できなくなったため、ロシアの宇宙機関Roscosmosは、3月に次の長期滞在クルーが搭乗する予定だったMS-23ソユーズのスケジュールを早め、2月26日に無人でISSに向けて打ち上げた

そして3月28日、故障したMS-22ソユーズは、MS-23と入れ替わりにISSを無人で離れ、カザフスタンの砂漠に着陸した。通常なら、無人でISSを離れる宇宙船は大気圏再突入の際に地上に到達するまでに燃え尽きるようにコース設定が行われるが、今回は冷却水漏れの発生原因について詳しく調査するため、人が搭乗しての帰還と同様にパラシュート降下による着陸が選択された。

Roscosmosは着陸後にソユーズを回収し、冷却水の漏れがどのように発生したか、冷却水のない着陸によって船内がどういった状態になり、将来のミッションにどう役立つかを、よりよく理解するために調査すると述べている。なおこのソユーズには、ISSで行われた化学実験の分析内容や結果、ISSで再利用するための機器の一部を含む約218kgの荷物も積み込まれており、それぞれが必要な分析にまわされるとのことだ。

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