アクティビジョン買収を進める戦略の一環?
iPhone向け「Xboxゲームストア」が準備中。早ければ2024年
マイクロソフトが、早ければ来年(2024年)にもiPhoneでXboxゲームストアを立ち上げる準備を進めていることを明らかにした。もっとも、いくつかの規制当局の判断に左右される条件つきである。
これはXbox部門トップであるフィル・スペンサー氏が、英Fiancial Timesのインタビューで述べていることだ。それによれば、1つにはマイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収が規制当局に認められるかどうかに懸かっているという。もし認められれば、モバイルゲームのポートフォリオ(運用できる資産の組み合わせ)が広がられるから、とのことだ。
これだけでは曖昧な印象だが、以前からマイクロソフトは「Xboxモバイルストア」の構想を英規制当局に提出している。そして、その中でアクティビジョンの有する「Call of Duty Mobile」などがストアにゲーマーを惹きつけるのに役立つと述べていた。要は世界的に人気を誇るCall of Dutyほか、強力なIPがなければ、ストアを開設しても客が来ないということだろう。
もう1つの条件は、EUのデジタル市場法とiOSのサードパーティ製アプリストアを許可する規制が施行される、ということだ。こちらはEUがアップルを「ゲートキーパー」に指定した上で、他社製アプリストアの許可を同社に強制する法律が制定されるという展開を指している。
さらにスペンサー氏は「我々は、プレイが望まれるあらゆる機器で、Xboxおよび他社パートナーのコンテンツを提供する立場にありたいと考えている」「現在、モバイルデバイスでその実現は叶わないが、これらのデバイスが開放される、いずれ来ると思う世界に向かって準備したい」と述べている。
こうした見通しは単なる理想論ではなく、すでに水面下では実現できる環境が整いつつあるようだ。アップルもEUの規制を先回りして、次期「iOS 17」では自社のApp Store以外の代替アプリストアを利用できるようにする準備を進めていると報じられていた。
その一方で、たとえ他社製アプリストアを認めても、アップルの収益に対する影響は微々たるものとのアナリスト予測もある。App Storeが提供するのは、比類なきセキュリティ、使いやすさ、信頼性であり、これは他社ストアでは実現が難しく、App Store代替ストアへの需要はほとんどないと分析されている。
また欧州でのApp Storeの収益はごく僅かであり、さらに他社製アプリストアで購入されたアプリについてもアップルが手数料を取る可能性が高い。実際、アップルはオランダでの出会い系アプリに外部決済を認めながらも、最大27%もの手数料を取る方針を打ち出していた。
そうした見通しは、当然マイクロソフトも織りこみ済みだろう。任天堂ハードやNVIDIAのGeForce NowにCall of Duty新作を10年提供する契約を締結したように、規制当局に対して「アクティビジョンを買収した後も、超人気タイトルを独占するつもりはなく、門戸を開き続ける」(から買収を認めるよう)ポーズを示す一環かもしれない。
- Source: Financial Times
- via: MacRumors