iPhone 15 Proのチップは問題なさそう

TSMCの3nm技術は“予想以上の性能”、アップル製品に優先採用か

Image:Intel

世界最大手の半導体ファウンドリー(受託製造)である台湾TSMCは、昨年末に3nmプロセスによるチップ量産を開始しているが、そのチップ性能は予想を超えているようだ。

TSMCは世界最高峰の技術を誇るとみられながらも、N3(TSMCの3nmプロセス技術)の量産開始には苦戦していると報じられていた。同社CEOも「言葉では言い表せないほど難しい」と述べていただけに、今回の「性能が予想を超えている」との噂は朗報である。これによりTSMCは、今後もプロセスルール(回路線幅)の微細化技術において、支配的な地位を維持できるだろう。

アップルはその3nmチップの主要顧客とみられており、今年後半の「iPhone 15 Pro」に搭載される「A17 Bionic」や将来のMac向け「M3」にも採用されることが確実視されている。つまりTSMCはN3による量産ラインを、アップル製品に優先的に割り当てるというわけだ。

3nmチップは以前の5nmチップよりコスト高になると予想されているが、iPhone 15 ProやM3搭載Macはプレミアム製品であり、さしたる影響はないはずだ。一方、コスト増になりつつも需要が大きく落ち込んでいるPC市場では、かなりのダメージになる可能性もある。

そしてインテルからの3nmチップ発注については、2024年末までずれ込むとのサプライチェーン情報が伝えられている。台湾の電子部品業界情報誌DigiTimesによると、具体的にインテルの発注が遅らされるモデルは、第15世代Arrow LakeのGPUのようだ。

インテルはArrow LakeのGPUタイル(ダイ)をTSMCの3nm技術で製造するとの噂もあったが、それが2024年の第4四半期まで発注がずれ込むということは、十分な数量のArrow Lakeが揃うのは2025年後半になる可能性を意味している。

アップルのハイエンドiPhoneやMacはTSMCの3nm技術による恩恵を予定通り受けられる一方で、インテル製チップ搭載のPCは、しばらく停滞を余儀なくされるのかもしれない。

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