在庫復活、一転して在庫が重荷に

NVIDIA、ようやくGPU不足を解消。グラフィックカード買うなら今かも

Image:NVIDIA

よく考えてみると、去年の今ごろはGPUを買いたくてもどこにも在庫がなく、価格は天井に張り付いたままだった。それがいま、GPU大手NVIDIAは、標準的な価格で売ることも難しいと述べている。

NVIDIA CEOのJensen Huang氏は、2023年第2四半期決算の説明会で、次世代のゲーミングGPU製品RTX 40シリーズ発売を前に、RTX 30シリーズの在庫がはけない問題に対処していると発言した。

今年はコロナ禍におけるゲーム需要の隆盛が去り、ゲーミングPCの売上が減少。さらに暗号通貨価格の下落によってマイニング業界の勢いも下火になった。

実際のところ、GPUの不足は昨年後半ぐらいから回復に転じ、価格も異常な高値を解消しつつあった。そして今年は、暗号通貨の暴落で事業を終了した業者などからの中古GPUが市場に流入したことも、売上げ減少に拍車をかけた。

Huang氏は在庫過剰な状態を解消するため、グラフィックカード製品メーカーやノートPCメーカーなどパートナー企業への販売数量を減らし、まずはこれらの企業がGPU在庫を一掃することに取り組むと述べた。

そして次世代GPUに備えるため、現行世代のGPUの価格を下げてパートナー企業に供給し、次世代GPUの在庫スペースを確保する考えを述べた。

したがって、これからしばらくはグラフィックカードの価格は下落し続けるかもしれない。ただ、最終的にグラフィックカードの価格を決めるのは製品メーカーなので、消費者にまでその恩恵が降りてくるかはわからない。だが少なくともeBayなどで販売されているグラフィックカード製品の価格は通常レベルにまで下がってきているようだ。

Huang氏は今回の急激な収益減少にあっても、まだゲーム需要は途絶えているわけではないと主張し、グラフィックカードの消費者販売数はパンデミック前と比べ、依然として70%も増加していると述べている。

またHuang氏は、ゲーム分野からの収益を改善するために「自社のゲーム技術で到達しようと計画している新しい市場のセグメント」があると、決算説明のテレカンファレンスで述べたという。その新しいセグメントが何を意味するのかはわからないが、ゲームとメタバースを組み合わせたものなど、色々と推測することはできる。

ともあれ消費者にとっては、今後も新品、中古市場ともに、RTX 30シリーズのグラフィックカード価格は下がり続けると予想される。手持ちのゲーミングPCが少し力不足に感じるなら、新しいグラフィックカードに更新するか、PCそのものを新調する良い時期に来ているのかもしれない。

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