ようやくSnapdragon 8cxシリーズに夜明けが?
クアルコム「Snapdragon 8cx Gen4」登場で、iPad対抗タブレット増加の可能性
米クアルコムのPC向けCPU「Snapdragon 8cx Gen 3」は性能が十分に高いとは言えず、ノートPCへの採用も限られていた。だが、次期「Snapdragon 8cx Gen 4」では10インチ級のタブレットにも搭載される可能性があり、各社がiPadに対抗する製品を投入する動きが加速しそうだ。
ドイツメディアのWinfutureによれば、クアルコムは2022年11月からSnapdragon 8cx Gen 4のソフトウェア開発テストを行っているという。興味深いのは、開発コード名「Hamoa」はデスクトップPCや13インチ以上の大型ノートPCのみならず、より小型のデバイスへの搭載も想定されている点だ。
つまり、このチップの応用範囲はiPadのようなタブレット、ミニノートPC、従来より小型のデュアルスクリーンタブレットにまで広がりうるということだ。たとえば、メーカー側が同じチップを使ったAndroidとWindows製品を用意する展開も考えられる。Snapdragon 8cx Gen 4はArmアーキテクチャであり、Androidの実行は問題ないはずだ。
これまでSnapdragon 8cxシリーズの採用が広まらなかったのは、もっぱらWindowsデバイスに限られていたからだろう。現行の最新チップSnapdragon 8cx Gen 3は、アップルM2比で約65%の性能とのベンチマーク結果もあり、ユーザーが積極的に選ぶ理由に乏しかった。かといって消費電力的にはノートPC向けの設計であり、バッテリーに余裕がないタブレットに採用するのも厳しかったはずだ。
しかし、Snapdragon 8cx Gen 4の初期サンプルは、TSMCの4nm技術で製造され、電力効率に配慮して3.00GHzで動作する(以前は3.40GHzと見られていた)との噂もある。iPad Pro(2022)に搭載されたM2チップはクロック数値が3.49GHzで5nm製造のため、この仕様であれば10インチタブレットで動作させても発熱問題は起きにくいと思われる。
このSnapdragon 8cx Gen 4は、元アップルのAシリーズチップ開発を主導した人物が深く関わっているとみられている。8つの高性能コアと4つの高効率コアを持つ12コアCPUであり、数の上ではM2チップ(高性能4つ+高効率4つ)を超えているとの噂もあった。
ほか、5G機能の統合やWi-Fi 7、外付けGPUのサポートなどの仕様もリークされており、魅力的な製品を作りうるポテンシャルが窺われている。ここ数年はAppleシリコン搭載のMacやiPadの攻勢が続いていたが、WindowsやAndroidタブレットが巻き返すゲームチェンジャーになると期待したいところだ。