スロットリングの検証が待たれる

新型MacBook Proはヒートシンクが前世代より小型化している

Image:Apple

新型チップM2 Pro/M2 Maxを搭載するMacBook Proを分解したレポートは、先日お伝えしたばかりだ。その続報として、放熱するヒートシンクが前モデルよりかなり小さくなったことが判明した。

修理業者iFixitとテック系YouTubeチャンネルのMax Techはともに、ヒートシンクの小型化はM2 Pro/M2 Maxの全体的なフットプリント(基板上の専有面積)が小さくなったためだと指摘している。より具体的には、SoCと1つのパッケージに封止されたRAMモジュールが小型化したことに起因するようだ。

前世代のM1 ProとM1 Max搭載MacBook Proでは、2つの大きなRAMモジュールが搭載されていた。だがM2 Pro/M2 Maxでは、4つの小さなモジュールに置き換えられている。M2 ProとM2 MaxのダイサイズはM1 Pro/M1 Maxよりも大きくなっているが、パッケージ全体としては専有面積が小さくなっているわけだ。

左がM1 Pro、右がM2 Pro MacBook ProのSoC(Image:iFixit)

つまりM2 Pro/M2 Max搭載の新型モデルでは、前世代ほど大きなヒートシンクが不要になったということだ。この変更が放熱にどのような影響をおよぼすのか、今のところ不明である。

小型のRAMモジュールを4枚使った理由は、サプライチェーンの事情にあるようだ。SemiAnalysisのチーフアナリストであるDylan Patel氏は、こうすることで小さなABF基板で間に合わせることができ、材料の節約と製造の複雑さを軽減できたと語っている。

ABF(味の素ビルドアップフィルム)基板とは、味の素の層間絶縁材を使った基板のこと。今や高性能プロセッサーに広く利用されているものだが、Patel氏によればアップルが設計上の素材選択をした当時、非常に在庫が不足していたという。


M2 ProとM2 Maxは、前M1 Pro/M1 Maxよりもパフォーマンスが数十%向上したことが確認されている。だが、前世代と数値の上では同じ5nm技術で製造している(第2世代ではあるが)ため、プロセスルール(回路線幅)の微細化による省電力、つまり発熱を抑えることは期待薄だ。M2 13インチMacBook Proのように重度のスロットリングが起きる場合がないのか、検証を待ちたいところだ。

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