「まずサムスン自身で先進技術採用、次にアップル提供」のパターン多し
タッチ操作Macへの布石か。サムスン、タッチセンサー内蔵のノートPC向け有機ELパネル発表
サムスンは22日(現地時間)、タッチセンサーを直接組み込んだノートPC向け有機ELパネルの量産を開始すると発表した。まず同社のハイエンド製品Galaxy Bookに搭載するとのことだが、噂のタッチディスプレイ版Macと関連する可能性も浮上している。
このパネルはOCTA(有機ELパネル内にタッチセンサーを封入)技術を用いており、別途タッチパネル用フィルムを用意する方式よりも、パネルを薄くしやすい。なお同社は、ノートPC用有機ELパネルとしては世界初だとしている。
これまでOCTA技術はGalaxy SシリーズやiPhoneなど、スマートフォンにしか使われてこなかった。サイズは16インチで解像度は3K、アスペクト比は16:10、最大120Hzのリフレッシュレートをサポートするとのことだ。
どのモデルに搭載するかは言及されていないが、数日前にリークされた「Galaxy Book 3 Ultra」の仕様と符合している。本製品は、2月2日深夜に開催されるイベント「Unpacked」にて、次期フラッグシップスマートフォン「Galaxy S23」シリーズと同時発表が予想されるものだ。
またサムスンは、他のノートPCブランドやパートナー向けに、有機ELタッチスクリーンパネルを大量生産する計画も立てているという。この見通しは、ちょうど2025年に発売が噂される「初のタッチスクリーンMac」とタイミング的にも一致している。
サムスンは2017年からハイエンドiPhone向けに有機ELパネルを供給しており、また昨年末には次期iPad Pro向けの有機ELパネル開発を優先しているとの報道もあった。早ければ2024年に初の有機EL版MacBook(AirとProの両説あり)が登場するとの予想もあり、これはアップルの未発表製品に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏や、ディスプレイ専門アナリストRoss Young氏も述べていたことだ。
これまでのMacBookはすべて、液晶パネルを搭載してきた。最新の14インチ/16インチMacBook Proの「Liquid Retina XDR」ディスプレイも、基本的には液晶パネルであり、バックライトを微細なミニLEDに置き換えたに過ぎない。有機ELディスプレイは赤青緑の素子が自発光するため、バックライトが不要となり、コントラスト比がさらに向上するとともに、消費電力が抑えられてバッテリー駆動時間も改善すると思われる。
アップルはかつて、共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏が「タッチ画面は(ノートPCのように)垂直にしたくない。人間工学的にも最悪だ」と述べて以来、Macへのタッチスクリーン搭載に否定的な立場をとり続けてきた。
しかし、今後いっそう世界的な不況が予想されるなかで、Macの売上げを伸ばすには、iPhoneやAndroidスマホが存在している時代に生まれたデジタルネイティブ世代を取り込むことが不可欠のはず。初のタッチスクリーンMacを発表する際に、アップルが今までの「Macと(タッチパネルを持つ)iPadの融合はあり得ない」などの公式発言との整合性をどう取るのか、注目したいところだ。