次期Proモデルの「A17 Bionic」には間に合わない?

TSMC、米アリゾナ工場で3nmチップ量産予定。iPhoneに搭載の可能性も

Image:rafapress/Shutterstock.com

アップル製品のチップ生産を一手に引き受ける台湾TSMCは、米アリゾナ州に120億ドルを投じて工場を建設中だ。この工場で、次世代の3nmチップを量産する計画を立てていることが明らかとなった。

TSMC創業者のモリス・チャン(張忠謀)氏は、台北での記者会見にて、アリゾナ州の新工場では先進の3nm技術によるチップ生産を計画している、と述べたという。「同じアリゾナの敷地内で、第2段階の計画がほぼ固まっている。5nmが第1段階、3nmが第2段階」とのことだ。もっとも、「まだ計画は完全に確定したわけではない」と付け加え、含みを持たせているようだ。

先日のThe Wall Street Journal情報では、当初TSMCは5nmチップを製造する予定だが、4nm技術にも対応する準備を進めているとされていた。そこから、より踏み込んだかたちと言える。

ここでいう「3nm」「5nm」は、半導体の回路線幅を意味しており、プロセスルールと呼ばれる。この数値が小さくなるほど、一般的に処理能力が向上し、消費電力(および発熱)は減っていく傾向がある。現行のM2チップ(MacBook AirやiPad Pro等に搭載)は5nmチップであり、iPhone 14 ProモデルのA16 Bionicには4nm技術が採用されている。

Image:TSMC

アップルは今後の「M2 Pro」や「A17」チップから、Appleシリコン(独自開発チップ)を3nmへ移行すると噂されている。BloombergのMark Gurman氏は、次期14インチ/16インチMacBook Proやハイエンド版Mac miniにはM2 Proが採用され、2023年3月に発売されると予想していた

ただし、TSMCのアリゾナ工場が生産を開始するのは2024年と見られている。そのため次期MacBook ProやiPhone 15には間に合いそうにないが、来年以降の「iPhone 16」用チップの一部は、米国内で生産されるのかもしれない。

TSMCによると、同社の3nm製造技術「N3」は、「N5」(5nm)よりもロジック密度は最大70%向上、同じ消費電力では最大15%速くなり、同じ速度であれば最大30%の電力削減を実現すると謳っている。M2チップやA16 Bionicはマイナーチェンジの感が強かったが、M2 ProやA17では大幅にスピードアップ、あるいはバッテリー持ちが良くなると期待したいところだ。

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