Apple Payを使う場合は再ダウンロードすることに

iOS 16.1で標準アプリの「ウォレット」が削除可能に – ベータ版解析で判明

Image:FellowNeko/Shutterstock.com

iOSアプリの「ウォレット」はApple Payと密接にひも付けられており、アップルがユーザーの決済手段を掌握する上での要となっている。この “iPhone決済ビジネスの中核” ともいえるアプリが、次期iOS 16.1では削除できる可能性が明らかとなった。

アップルは今週初め、iOS 16.0ベータ7とiPadOS 16.1ベータ1の両方をリリースし、開発者を驚かせた。前者はすでにiOS 16正式版が完成したとの有力な噂もあり、後者は「iPadOS 16正式版がまだ出ていない」中で登場したためである。

つまり「iOS 16.1」はまだ配信されていないが、iPadOSはiOSとコードのほとんどが共通のため、iPadOS 16.1ベータ版からiOS 16.1の手がかりも得られるわけだ。

さて米9to5MacがiPadOS 16.1ベータの内部コードを調べたところ、ユーザーがウォレットアプリをアンインストールできることを発見したという。

ウォレットアプリは、かつて「Passbook」と呼ばれていたもの。iPhoneにプリインストールされており、搭乗券やチケットや定期券、何よりApple Payで追加したクレジットカードやデビットカードを管理できる。8月下旬現在では、ユーザーがiPhoneからアンインストールしたくてもできないが、この状況が変わろうとしているわけだ。

当然ながら、Apple Payなど一部の機能はウォレットアプリありきのため、それなしには動作しない。そうした場合は「App Storeからウォレットアプリをダウンロードしてください」とのメッセージが出るとのことだ。

今回見つかったのは、あくまでウォレットアプリが「削除可能」になったというコードだけ。iPadOSにはウォレットアプリがなく、iOS 16.1はまだ利用できないため、実際の動作は確認できていない。

この動きは、Apple Payに反トラスト法(日本でいう独禁法違反)の批判が浴びせられている中で出てきたものだ。今年5月、EUはアップルがiPhone内蔵のNFC技術を自社の決済プラットフォーム(Apple Pay)に限定していることを批判する異議告知書を公開していた。また7月には、iPhoneやApple Watchのユーザーを増やすため、銀行にApple Payの採用を強要したとして、アップルに対して集団訴訟が提起される一件もあった

iOS 16では、これらの圧力をかわすための変更が導入される予定だ。まず、ChromeやEdgeなどサードパーティ製ウェブブラウザもApple Payと連携できるようになる。また、iPhoneを非接触決済端末として使える「Tap to Pay」も、サードパーティ製アプリが利用できる見通しだ。

ほかiOS 16ベータ版では、「探す」「ヘルスケア」「時計」など、多くの標準アプリを削除できることが確認されている。反トラスト法の批判は、EUなど巨大な市場を失うことにも繋がりかねず、またApple Payが十分に普及した状況も鑑みて、アップルも先手を打っているのかもしれない。

関連キーワード: