チップはムダに高性能そうだけど…
電子タバコ(VAPE)の液晶に『Doom』移植。ただし制限あり

1993年にシェアウェアとしてリリースされた名作FPSゲーム『Doom』は、1997年にオープンソース化された際、ソフトウェアに添付されたReadMe.txtに「お好きな OS に移植してください」と書かれていた。以来、熱烈なファンによって、電子書籍リーダー、スマート冷蔵庫から妊娠検査キットに至るまで、あらゆるディスプレイ付きデバイスに、この一人称シューティングゲームは移植されてきた。
その最新の移植先は、30ドルで販売されている電子タバコ(VAPE)だ。ハードウェアハッカー兼ソフトウェア開発者のアーロン・クリストフェル氏が行ったこの移植により、DoomはAspire Pixo Kitに搭載される1.5インチ、320×170pxのカラータッチスクリーンで動作する。このデバイスにはPuxa PY32F403XCと呼ばれる32bitのArmプロセッサーが搭載されているため、処理性能的にもDoomを動かすには十分なように見える。
ただ、クリストフェル氏は、過去のDoom移植事例にもあったのと同様に、デバイスそのものでDoomを実行せず、PC上で実行されたDoomの映像をVAPEの液晶に表示していることを正直に述べている。
なぜVAPEでDoomを直接実行できなかったのかについて、クリストフェル氏はXへの投稿でPixo Kitが搭載するRAMの容量64KBしかなく、そのせいでDoomを実行できなかったと述べた。次善策として、USBを介してPixo KitをPCのサブディスプレイにしたとのことだ。ちなみに、Doomを実行させるには4MBのRAMが必要となる。
なお、今回はPCの映像を流すことでお茶を濁したものの、クリストフェル氏は将来的に、このVAPEに別のMODを用いて、Doomのネイティブ動作を実現したい考えを示している。
だれが望んだわけでもないデバイスでも、そこにディスプレイがあるからDoomを移植しようという発想は、コンピューター好き、ゲーム好きな人にわからないかもしれない。だが、誰もやらないことをするところにこそ、このDoom移植チャレンジの価値があるとも言えそうだ。
- Source: Aaron Christophel(YouTube)
- via: PCMag