ハイエンド製品ではリスクが高すぎるため

アップル、独自5Gモデムを「iPhone SE 4」や「iPhone 17 Air」、低価格iPadに搭載か

Image:DANIEL CONSTANTE/Shutterstock.com

アップルは数年前から独自設計の5Gモデムを開発しており、2025年に廉価モデル「iPhone SE 4」に搭載すると噂されてきた。それに続き、超薄型の「iPhone 17 Air」やローエンドのiPadにも使う予定だとBloombergが報じている。

同社の内部情報に詳しいMark Gurman記者によると、クアルコム製のモデムを置き換えるべく、3年がかりの計画を立てているという。最初の年が2025年であり、iPhone SE 4にて初採用。その後にiPhone 17 Air、早ければ年内にiPadにも展開を始める見通しとされている。

この初の独自5Gモデムでの5Gダウンロード速度は、理論値では最大4Gbpsだが、これは現行のiPhoneに搭載されているクアルコム製モデムよりも遅い。もっとも、現実の環境下ではデータ転送速度ははるかに遅くなるため(iPhone 16 Proでも400~450Mbps程度)日常的な使い方では違いを感じない可能性がある

また、初代5Gモデムでは高速なミリ波に対応せず、サブ6GHzのみになるという。これはアップルの未発表製品に詳しいアナリスト、Ming-Chi Kuo氏も述べていたことだ。

もっとも、DSDS=デュアルSIM・デュアルスタンバイの仕様は引き継ぐとのこと。つまり、1台のiPhoneで2つの電話番号やデータ回線を同時に使える機能は失われないようだ。

今のところ、アップルは初代5Gモデムを「iPhone 17 Pro」などハイエンド製品に搭載しないと見られている。モデムが上手く機能しなければ通話が途切れたり、メールを受信できないこともあり得る。1000ドル以上のiPhoneで、それが許される余地がないというわけだ。

つまり、2025年のハイエンド製品ではクアルコム製モデムを使い続ける一方で、iPhone SE 4ユーザーは人柱的な扱いを受けるのかもしれない。それでも、初期の試作チップにあった過熱や電力消費の問題は解決済みとのことだ。

その一方で、初のアップル独自モデムは低消費電力、セルラーネットワーク検出能力の向上、衛星接続の強化などのメリットがあるという。バッテリー持ちが良くなり、電波を捕捉しやすくなるということだ。

このモデムの製造は、iPhoneやMacのメインプロセッサーを供給するTSMCが製造するとのこと。上記のKuo氏は、4nmチップになると報告していた。

さらにアップルは、2026年の第2世代モデムではクアルコム製の性能に近づけ「iPhone 18」シリーズ等に搭載。さらに2027年の第3世代では、AI機能や次世代衛星ネットワーク対応も組み込み、追い越すことを目指しているという。

2027年といえば、アップルがクアルコムから5Gモデムを供給を受ける契約が切れる年だ。ようやく、クアルコムへの依存を断ち切れるのかもしれない。

関連キーワード: