インテルやサムスンに対して圧倒的な優位

TSMCの3nm/5nmプロセス稼働率が100%に到達か。iPhone以外のスマホやAIチップ需要が要因

Image:Rokas Tenys/Shutterstock

台湾の半導体製造大手TSMCの5nmおよび3nmプロセスが、稼働率100%に達したと報じられている。おりしも、同社にとって最大の顧客であるアップルのiPhone 16シリーズが販売不振とみられている最中のことである。

台湾の経済メディア工商時報によれば、TSMCの3nmの受注は、クアルコムとMediaTekのフラッグシップスマートフォン向けチップ競争にけん引されており、iPhoneの下方修正をものともしないという。クアルコムのSnapdragon 8 EliteとMediaTekのDimensity 9400は、ともにTSMCの3nmプロセスで製造されている。

またAIチップ人気により、来年上半期には5nmの稼働率が100%を超える見込みだという。特にNVIDIA Bシリーズは徐々に数量を増やしており、年末までにB200チップは年末までに20万個を生産し、来年の第3四半期にはB300Aも発売され、需要は継続するとのこと。米アリゾナ州に建設されたTSMC工場でも来年初めに量産を始める予定だと伝えている。

TSMCの圧倒的な好調さは、インテルやサムスンといった競合他社が高度なプロセスの受注に対応できていないためだろう。サムスンは一時、次期フラッグシップ機「Galaxy S25」シリーズの一部に自社製チップ「Exynos 2500」を搭載すると噂されていたが、3nmプロセスの歩留まりが20%を下回っているため断念する可能性が高まっている。

今やTSMCの製造するチップ抜きに全世界のハイテク産業は立ち行かない状況となっているが、その一方で中国による台湾侵攻への警戒は高まっている。同社は米政府の要請により中国向けに高度なAIチップの出荷を停止するとの報道や、中国ファーウェイが人材を引き抜こうとする動きもあり、大国のせめぎ合いのなかで慎重なかじ取りを迫られそうだ。

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