睡眠時無呼吸症候群の検知はSpO2測定に基づくため
「Apple Watch Series X」大画面で薄型化、ただし健康関連の新機能は遅れる可能性
次期「Apple Watch Series X」は、10周年記念モデルとして様々な新要素が噂されている。先日も予想CG画像がネット上に登場していたが、著名ジャーナリストがさらなる詳細を報じている。
アップルの内情に精通するBloombergのMark Gurman記者は、Apple Watch Series X(開発コード名N217とN218)が「より大きな画面」となり、大型モデルはApple Watch Ultraとほぼ同じサイズになるという。
これは信頼性の高いアナリストMing-Chi Kuo氏ほか、複数の情報源の予想とも一致している。さらにGurman氏は本体が薄くなるとしつつ、「デザイン自体はあまり変わらないだろう」と付け加えている。
Apple Watch Series Xと次期「Apple Watch Ultra 3」ともに新型チップが搭載されるとのこと。Series 6からSeries 8までの搭載チップはS6/S7/S8と名前こそ新しくなっていたが、CPUコアは3年連続で同じだった。今回はCPUコアの使い回しはなく、チップ性能的には停滞はなさそうだ。
この新型チップにより「将来的なAIの基礎を築く」可能性があるものの、Apple Intelligenceの全機能を搭載する「計画は全くない」という。iPhone 15標準モデルでさえも必要スペックを満たしていないとされるため、チップ性能とRAM容量ともに限られるApple Watchでは無理があるのだろう。
かたや健康関連機能については、噂された高血圧の測定や睡眠時無呼吸症候群の検知は「いくつかの深刻な問題」にぶつかっていると報じている。
まず高血圧の測定は、期待されたほど信頼性が高くなかったという。そのため機能の提供を延期せざるを得ないかもしれず、また血圧そのものの測定はできないとのこと。
代わりに、すでに提供中の手首皮膚温の記録のように、時間の経過に伴う血圧の上下をモニターするに留まるようだ。数値が急上昇したとき警告を発し、何をしていたかメモする方向となるのかもしれない。
そして睡眠時無呼吸症候群の検知は、さらに厄介な問題に突き当たっているようだ。なぜなら血中酸素飽和度(SpO2)の測定と結びついているため、もっか係争中のMasimo社の特許が絡んでくるからだ。米ITCの裁定により該当モデルは輸入禁止とされたため、米国内で血中酸素アプリは無効化されている。
もっとも、アップルはこの問題を解決するか、回避できる見通しだという。関連センサーが「血中酸素飽和度と関係のない目的にも使えると主張」するか、機能を発表してもリリースを遅らせる可能性があるとのことだ。
ほか今回のBloomberg報道では、廉価モデルApple Watch SEの新バージョンにも言及している。テストした試作機の1つは、本体ケース素材をアルミニウムから硬質プラスチックに置き換えるというもの。現行モデルの米国価格は249ドル~だが、Galaxy Watch FEの199ドル~に対抗するコストダウンを図る狙いのようだ。