アップルは中国からインド・ベトナムに生産拠点を移転

アップル製品組立てのFoxconnが工場を閉鎖した中国・南寧周辺、ゴーストタウン化

Image:China Observer/YouTube

アップルは長年にわたり中国を主要な生産拠点としてきたが、近年では米中関係の緊張もあり、インドやベトナムにシフトしつつある。それでも現地に築いてきたサプライチェーン網や豊富な熟練工は他には替えがたく、中国との関係解消には20年以上かかるとの見方もあった。

そんな中、iPhone組立ての最大手Foxconnが中国・南寧にかまえる工場が次々と閉鎖され、ゴーストタウンになっていると報じられている。

中国のニュースと独自の分析を提供するYouTubeチャンネルChina Observerは、約5万人が働いていた工業団地が事実上、もぬけの殻になっている様子を報道。地元の男性は、かつて労働者を支えるために莫大な物資が必要であり、1日60トンの米、280頭の豚、120万個の卵、8万羽の鶏を消費していたと語っている。

これら工場の閉鎖は、周辺の地域にも及んでいる。工場の労働者を収容するために建てられた近隣の高層ビルは、大幅な値引きをしても売れなくて苦労しているという。

Foxconnは看板を撤去しており、操業再開も望み薄のようだ。同社が今なお使っている建物は数棟のみで、大半は空き家か賃貸に出されているようだ。

Image:China Observer/YouTube

アップルが中国以外に生産拠点を分散させる動きは2020年頃に遡るが、新型コロナ禍のもとで中国政府が都市をロックダウンし、工場を操業停止させたことで急激に加速した。

Foxconnは早くからアップルの要請に早くから応じており、2022年にはiPhone 14を中国とインドで同時に生産を開始している。この南寧工場の設備も、ベトナムの同様の工場に移されたという。

今回の一件は、中国の地域社会にとって、アップルの生産にどれだけ依存しているかを示すものだ。いったん他の地域への移転が決まれば、雇用や富がどれだけ速やかになくなるか、また穴埋めする産業がなければ、どれだけダメージが深くなるかを浮き彫りにしている。

もっとも、アップル関連情報サイトAppleInsiderは独自の調べで、アップルが中国国内の他の拠点に製造能力を移したことが本工場の閉鎖に繋がったと主張している。その真偽は不明だが、地域経済がアップルやFoxconnといった超大手企業に生殺与奪を握られていることは事実のようだ。

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