Wii Uの失敗体験が大きすぎる?
“未知の任天堂ゲームハード”が英規制当局の資料に記載。Switch Onlineに対応する模様
マイクロソフトがゲームパブリッシャー大手アクティビジョン・ブリザードの買収を進める件につき、各国の規制当局が独禁法違反の疑いがあるとして調査を進めている。その過程で公開される資料から、たとえば「次世代PlayStationとXboxが2028年以降に登場」など思わぬ情報が飛び出すことも珍しくはない。
そうした動きのなか、英競争市場庁(CMA)が最近の資料で、未知の任天堂ゲームハードに言及していることが明らかとなった。
CMAはMSのアクティビジョン買収につき、補足資料を公開。そこにはクラウドゲームサービスにおける各社の推定シェアなど、暫定的な調査結果に用いられたデータが含まれている。主にMSのXbox Cloud GamingやPlayStation Plusのクラウドストリーミングに関するもので、一見すれば任天堂は関係なさそうだ。
この市場シェア推定の過程につき、興味深い一説がある。「Nintendo Switch Onlineは、任天堂のクラウドゲーミングサービスが非常に限定的であるため、シェアから除外した。任天堂のクラウドゲーミングサービスは、Nintendo Switch本体と[x]でしか利用できない(中略)Nintendo Switch Onlineは、クラウドゲーミングサービスというより、オンラインマルチプレイヤーサービスが主体であると考える」とのことだ。なお原文では、xの部分がハサミマーク(伏せ字)になっている。
今のところNintendo Switch Onlineが利用できるのは、Nintendo Switchシリーズのみ。初代Nintendo SwitchとNintendo Switch Lite等は別ハードとも解釈できるが、CMAがそう捉えているなら、発売済みのLiteや有機ELモデルを隠す理由はどこにもない。わざわざ非公開とした理由は、未発表の新型ハードウェアを指している可能性が高いはずだ。
ここ数年、強化型モデル「Nintendo Switch Pro」は何度も噂されてきた。NVIDIAの超解像技術DLSSにより4K表示、新型チップ「Tegra239」搭載、現行のカートリッジ対応など、かなり具体的な製品像が浮かび上がっていたほどだ。
だが、任天堂の古川社長は昨年8月に「今期は目玉となる最新機種の発表もない」、つまり2023年3月まで新型ゲームハードの投入はないと発言。その後Switch Proの開発は打ち切られ、「真の後継モデル」に注力されているものの、2023年内には登場しないとの有力情報もあった。
ゲームグラフィックスの解析で知られるDigital Foundry社のジョン・リンネマン氏は、個人的な見解として、任天堂は過去ハードの経験から、スイッチの次世代ハード移行には神経質になっている可能性が高いと述べていた。たしかに1億台売れたWiiの次が、わずか1,300万台強のWii Uだったのだから、石橋を何度も叩いて渡ることを躊躇うのもやむを得なさそうだ。