サムスンも衛星通信に進出の可能性あり
アップル、衛星通信を緊急SOS以外にも活用か。取得特許から明らかに
アップルはiPhone 14シリーズでの「衛星経由の緊急SOS」機能を11月末から米国およびカナダで、12月13日(現地時間)から英仏など欧州4ヶ国でも提供開始している。
そして最近承認されたアップルの特許から、衛星通信が緊急SOS以上の用途に拡大される可能性が明らかとなった。
この衛星経由の緊急SOS機能は、Wi-Fiや携帯電話通信の電波が届かない場所でも緊急サービスにテキストメッセージを送ったり、「探す」アプリを使って衛星経由で自分の位置を共有でき、圏外でも安心できるものだ。つまり、現状ではテキストベースの通信に限定されている。
本機能を使うには、まず「衛星経由の緊急テキスト」をタップ。次に「緊急通報の報告」を選び、緊急事態に関する質問に答えていき、できるだけ状況を知らせる。そして自分の位置情報と緊急事態の種類を緊急連絡先に伝えるオプションを選択してから、ようやく衛星通信に接続。その後の緊急通報サービスとのやり取りもテキスト通信であり、文字以外のメディアが使われることは一切ない。
アップルは衛星経由の緊急SOSを支える通信インフラに、4億5000万ドルもの巨額を投じている。人命を救うためシステムでもあり、特製の新型アンテナを設計・製造したり、全世界の地上局に設置するコストが莫大とはいえ、「緊急時」のためだけの設備としてはオーバースペックのようにも思える。
アップルの特許情報に詳しいPatently Appleは、同社が欧州にサービスを拡大したのと同日に承認された特許を発見。そこでは衛星通信が、緊急時の使用やテキストデータ以上に拡張される可能性がうかがえると指摘している。
問題の箇所は、衛星通信トランシーバーを含む受信機器を対象とするもの。「トランシーバ #28とアンテナ放射体 #30によって伝達される衛星通信データは、メディアデータ(例えば、ストリーミングビデオ、テレビデータ、衛星ラジオデータなど)、音声データ(例えば、電話の音声データ)、インターネットデータ、および/または他の任意の所望のデータを含むことができる」と記載されている。
もちろんアップルのようなハイテク大手は、毎週のように多くの特許を申請・取得しており、そのうち製品化、あるいは実用化にこぎ着けるものはごく一部に過ぎない。特許が承認されたといっても、同社がそれに基づいた製品やサービスを送り出す保証は何一つない。
とはいえ、今やスマートフォン業界において衛星通信は将来の夢を語る場ではなく、5Gにも匹敵する激戦場となりつつある。
SpaceXを率いるイーロン・マスクCEOは、米通信大手T-Mobileとの提携を発表したほか、「アップルと有望な会話」をしたとツイート。またサムスンの次期フラッグシップ機「Galaxy S23」シリーズでは、緊急SOS以外のテキストや画像も送れる可能性があると噂されている。アップルも緊急SOS機能を全世界に一通り展開し終えてから、次のステップを発表するのかもしれない。
- Source: Patently Apple