チップ設計はアップル、インテルは製造のみ

アップル、半導体関税回避と引き換えにインテルへ製造委託か

多根清史

Image:Below the Sky/Shutterstock.com

アップルは昨年夏、半導体関税の軽減措置を巡る交渉の最中、ホワイトハウスからインテルの半導体製造工場を利用するよう圧力を受けていたと、Wall Street Journal(WSJ)が報じている。

2025年8月、同社のティム・クックCEOは、トランプ政権が打ち出した半導体輸入への100%関税の適用回避を求め、ワシントンを訪れたという。この関税が導入されれば、アップル製品全体のコスト上昇は避けられなかった。WSJによると、アップルは米国内への数千億ドル規模の投資を約束したことで適用除外を勝ち取ったが、その投資の多くはもともと計画済みだったとのことだ。

会談では、トランプ大統領とラトニック商務長官が、アップル製チップの一部をインテルの製造工場で生産するようクック氏に求めたとされる。関税交渉とアップル・インテル間の提携が結び付けられていたことが報じられたのは、今回が初めてとみられる。

それから約10か月後、トランプ大統領は自身のSNS「Truth Social」で、アップルが一部製品にインテル製造チップを採用すると発表した。「私がインテルを支援することにしたのは、ここアメリカでチップを設計・製造する必要があるからだ」と大統領は投稿している。この発表を受け、インテル株は急騰し、その後数日で過去最高値を記録した。

WSJは、交渉に詳しい関係者の話として、アップルはMacBookとiPhone向けチップをインテルに製造委託する計画だと伝えている。ただし、どのチップが対象となるのか、また生産規模については明らかにされていない。アップルは今後も、自社設計チップの大半についてはTSMCへの依存を続ける見通しだ。

こうした報道は、ほかの情報筋やアナリストの見方とも一致している。インテルに製造委託されるのは「非Pro向けスマートフォンSoC」や「最下位Mプロセッサー(Mac向けチップ)」で、高価なProモデル向けチップは引き続きTSMCが独占生産するとの予想である。

WSJによると、この取り決めはトランプ政権によるインテル支援策の一環とみられている。米政府は昨年、90億ドルの連邦補助金を10%の株式へ転換し、インテルの筆頭株主となっている。

NvidiaやSpaceXも、その後インテルと製造契約を結んでおり、これらについてもトランプ政権から同様の圧力があったと報じられている。

インテルのファウンドリー(半導体受託製造)事業は、直近4四半期で104億ドルの営業損失を計上している。また近年は、安定した歩留まりで半導体を大量生産する能力に疑問が持たれてきた。少し前には、インテルがAppleシリコン(アップル自社設計チップ)の小規模試作を開始したと報じられていたが、本格的に製品へ投入されるまでには、まだ時間がかかりそうだ。

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