アップルにとってはTSMC依存脱却と政治リスク低減で一挙両得?

アップルとインテル、チップ製造で提携合意か。トランプ政権が仲介と報道

多根清史

Image:JarTee/Shutterstock.com

ここ数か月、アップルが将来のチップ製造でインテルと提携する可能性が何度か報じられてきた。そんななか、両社が正式に合意へ達したとThe Wall Street Journal(WSJ)が報じている。

WSJによると、両社は今後のアップル製デバイス向けチップの一部をインテルが製造することで予備的合意に達したという。協議は1年以上にわたって集中的に続けられており、ここ数か月で正式契約をまとめ上げたとされている。

現時点では、インテルがどの製品向けチップを製造するのかは明らかになっていない。ただ、これまでのアナリスト報告では、将来のMacおよびiPad向けMシリーズチップで提携を模索しており、さらにiPhone向けチップ生産へ拡大する可能性も指摘されていた。

時期としては、Mシリーズチップが2027年、iPhone向けは早くとも2028年以降になると見られている。

さらに先週初めBloombergは、アップルがチップ製造体制を多様化するため、インテルとサムスン両社との提携を模索していると報じていた。現在、アップルは先端チップでTSMCへの依存度が極めて高い。一方、AIブームによってNVIDIAがTSMC最大顧客になった可能性もあり、アップルは以前ほど強い価格交渉力を持てなくなっているとも報じられていた。

アップルにとって、インテルとの提携はサプライチェーン多様化だけでなく、米政府に対する政治リスク低減にもつながる可能性がある。現在、米政府はインテル株の約10%を保有する筆頭株主となっており、トランプ政権は同社の新規契約獲得を後押ししていると報じられている。

WSJによると、米政府は今回の暫定合意で重要な役割を果たしたという。「事情に詳しい関係者」によると、トランプ大統領はホワイトハウスでの会合において、アップルのティム・クックCEOに対し、インテルを支持するよう個人的に強く働きかけたとされている。

また、ラトニック商務長官も過去1年間にわたり、クック氏をはじめとするアップル幹部に加え、SpaceXのイーロン・マスクCEOやNVIDIAのジェンスン・フアンCEOとも繰り返し会談し、インテルとの提携を説得してきたという。今回のアップルとの提携によって、インテルは3社すべてとパートナーシップを結んだことになる。

Appleシリコンには高度な製造プロセスと安定した歩留まりが求められる。一方で、無印Mシリーズはダイサイズが比較的小さく、歩留まりや性能変動への許容度も高いため、米国市場向け製品を米国内のインテル工場で生産することは理にかなっているとの指摘も出ている。

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