MacBook Neoの「旧チップを割高で追加製造」も解消か

アップル、インテル製Appleシリコンを試作中か。TSMC独占体制に変化の兆し

多根清史

Image:Koshiro K/Shutterstock.com

インテルが、低価格帯iPhone/iPad/Mac向けとみられるAppleシリコンの小規模試作を開始したと、著名アナリストが報告している。これが事実であれば、TSMCが2016年以降、アップル向けSoCを独占供給してきた体制が終わりに近づく可能性がある。

アップルのサプライチェーン分析で知られるMing-Chi Kuo氏によると、注文構成の約80%はiPhone向けであり、アップル製デバイス全体の販売構成とも一致しているという。生産は2027年から2028年にかけて拡大する見込みだ。ただし、どのiPhone向けAシリーズチップ、およびiPad/Mac向けMシリーズチップをインテルが製造するのかは明らかにされていない。

アップルは、これらのチップにインテルの18Aプロセスを採用しており、さらに他の先端ノード技術についても評価を進めているという。一方で、インテルがチップ設計そのものに関与する兆候はなく、その役割は製造のみに限定される見通しだ。これは、x86アーキテクチャのインテル設計プロセッサを採用していた「Intel Mac」時代とは大きく異なる。

アップルはチップ供給元を2社に分散することで、コスト交渉力を高めつつ、供給体制の強化も図れる。さらに、インテルとの提携を再び深めることで、インテルの最大株主であり、米国内製造を重視するトランプ政権から好意的に受け取られる可能性もある。ただしKuo氏は、それでもTSMCが今後もアップル向けチップ供給の90%以上を担い続けると述べている。

アップルがインテルと再接近を図っていることについては、Bloomberg をはじめ、複数の情報源がここ数か月にわたり報じてきた。そして今月初めには、The Wall Street Journal が、両社がアップル製デバイス向けチップの一部をインテルが製造することで「予備的な合意」に達したと報道。今回のレポートは、それに続く形で「すでに小規模テストが始まっている」という進捗をうかがわせる内容となっている。

フラグシップiPhone発売後も、1年前の標準モデルは継続販売されることが多い。さらに廉価モデル「iPhone e」シリーズも加わったことで、低価格帯・レガシー向けチップの需要は根強いものとなっている。

加えて、iPhone向けチップは「MacBook Neo」にも使われるようになり、その人気の高さから、アップルは「旧世代チップを高コストで再発注する」状況に追い込まれるとみられている。インテルがチップ製造の一部を再び担うことは、そうした矛盾を解消する一手になる可能性がありそうだ。

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