結局、関税を支払うのは米国の消費者になりそう

米トランプ政権の相互関税、アップルのサプライチェーンを直撃。株価も一時急落

Image:bella1105/Shutterstock.com

アップルは主要製品の製造を中国のみに依存する構造を改め、複数の地域にサプライチェーンを分散させる努力を注いできた。が、米トランプ政権がiPhoneやiPad、Macの部品調達先である複数の国々に新たな関税を課すことで、それらが無駄になる可能性があるとNew York Timesが指摘している。

同社がインドやベトナム、タイなどに製造拠点の一部移転を進めてきたことは、何度か報じてきた。が、米政府はすべての貿易相手国に対して最低でも10%の関税を課し、アップルのサプライヤーが拠点を置くいくつかの国々に対しても「相互関税」を課すことになる。それらの関税率は、次の通りだ。

  • ベトナム- 46%
  • タイ- 36%
  • 中国 – 34%
  • 台湾 – 32%
  • インド – 26%
  • 日本 – 24%
  • マレーシア – 24%
  • EU – 20%

すでにアップルは中国からの輸入に20%の関税を課されてきたが、これが34%にまで引き上げられる。そして全てのデバイスに搭載するAppleシリコンを調達している台湾は、32%もの関税が降りかかることになる。

第一期トランプ政権のもとでは、アップルは関税を一部、あるいは完全に回避できた。が、トランプ氏は今回、免除措置は与えないと主張している。米金融大手モルガン・スタンレーは、免除措置がなければ中国から輸入するデバイスにつき年間85億ドルの追加コストが発生すると推定しているが、アップルが製品価格を引き上げてコストを消費者に転嫁するかどうかは不明である。

アップルのティム・クックCEOは過去に、米国には高度な機械加工の専門知識を持つ熟練労働者が不足しているため、製造において中国や他の国々と競争できないと述べていた。そもそもアップルは何十年もかけて中国での熟練工を育てており、他の国への移転が順調とは言えないのも、現地での人材が不足しているからだ。

相互関税の発表後、アップルの株価は時間外取引で7.5%下落した。トランプ大統領によると、関税は4月9日に発効する。Nintendo Switch 2の米国での価格は約450ドルで、日本よりも高く設定されているが、そちらにも影響が及ぶ可能性もある。

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